大型連休 外出自粛要請へ積極的協力を


 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、5月6日までの大型連休に入った。連休中ではあるが、新型コロナの収束に向けて外出は極力控えたい。

緊急事態の延長不可避か

 国内では25日、午後6時までに新たに212人の感染者が確認され、クルーズ船の乗船者を除く累計は1万3000人を超えた。東京都では103人の感染が判明し、累計では3836人となった。

 感染拡大が続き、収束の兆しは見えない。全国に5月6日まで発令されている緊急事態宣言は、少なくとも一部自治体では延長が不可避との見方が広がっている。

 安倍晋三首相は「緊急事態を早期に収束させるため、今が非常に重要な時期だ」と指摘。休業要請に応じない事業者の名称公表に言及した上で「接触機会の8割削減に向けた取り組みを加速化させていく」と強調した。

 緊急事態宣言発令で、都道府県知事は①医療施設開設のための土地や家屋の強制使用②医薬品など特定物資の収容――などの強制措置が可能となる。しかし、基本的には外出自粛の「要請」にとどまる。政府や自治体だけで新型コロナの収束を実現できるわけではない。国民一人一人が積極的に協力し、外出を控えることが求められよう。

 国立情報学研究所とキヤノングローバル戦略研究所などのグループは、携帯電話のビッグデータから3月の3連休は都内などで平常時と変わらない人出だったことを明らかにした。この3連休がきっかけで、都内では感染者が急増し、緊急事態宣言発令につながった。

 ウイルスの潜伏期間は14日間とされている。大型連休中の外出自粛の効果が表れるのは5月中旬ということになろう。3連休の過ちを繰り返すことがないようにしたい。

 一方、小池百合子都知事は、埼玉、千葉、神奈川の3県知事と共に、4月25日~5月6日を「いのちを守る ステイホーム週間」として、徹底した外出自粛を求めるキャンペーンを展開する。帰省や旅行など他道府県への移動自粛や、企業に12日間連続休暇の呼び掛けを行う。

 また、連休中の都立公園の利用自粛を求めるほか、駐車場や遊具広場を閉鎖。区市町村立の公園にも同様の対応を取るよう要請する。

 さらに、密閉、密集、密接の「3密」の解消に向け、都民に「毎日の買い物を3日に1回程度に控えていただきたい」と求めた。商店街組合による自主休業に対する奨励金や、過密防止に向けた取り組みへの補助金制度を創設する考えも示した。できる限りの対策を講じ、感染収束に向け全力を挙げなければならない。

改憲論議を深めたい

 大型連休中の5月3日は憲法記念日だ。毎年、憲法に関する大会などが行われるが、今年は新型コロナの感染拡大で中止が相次いでいる。

 中止はやむを得ないが、今回のような非常時に私権を制限する緊急事態条項を憲法に盛り込むべきだとの意見も出ている。インターネットの活用など例年の大会に代わる方法で、改憲論議を深めたい。