新型コロナ方針 国民の協力で感染封じ込めよ
政府は新型コロナウイルスによる肺炎対策の基本方針を取りまとめた。
患者が急増して医療機関が対応できなくなる事態を避ける狙いがある。国民1人1人が協力して感染を封じ込めなければならない。
軽症の人に自宅療養要請
基本方針では、患者が大幅に増えた地域では一般医療機関で受け入れるとともに、症状が軽度であれば自宅療養を要請することなどが示された。一般医療機関での受け入れは、重症の人への医療提供体制を維持するためだ。
2009年に新型インフルエンザが流行した際には、患者が医療機関に殺到して診療に支障を来すケースがあった。混乱を避けるためにも、軽症の人はまず自宅で安静にすることを心掛けてほしい。
このほか基本方針では、風邪の症状がある人に休暇取得やテレワークを勧めるよう企業に呼び掛ける。イベントについては一律の自粛要請はしないが、感染の広がりや会場などの状況を踏まえ、開催の必要性を検討するよう求める。
既に、天皇誕生日の一般参賀をはじめ多くの行事やイベントが中止されている。主催者は感染の拡大防止を最優先に考えてもらいたい。
世界保健機関(WHO)によれば、新型肺炎に感染した人の8割は軽症だ。ただ基本方針では、季節性のインフルエンザと比べると重症化するリスクが高く、高齢者や基礎疾患がある人は特に高いと分析している。国内で死亡した5人は、いずれも80歳代だ。
基本方針では、こうした人たちが持病の薬を受け取る場合、電話による診療で処方箋を発行するなど、医療機関を受診しなくてもいい体制を整える。
また、感染経路については「飛沫か接触感染で空気感染は起きていないと考えられる」とする一方で「閉鎖空間において近距離で多くの人と会話するなど、一定の環境下であれば、せきやくしゃみがなくても感染を拡大させるリスクがある」と指摘した。症状がなくても、不要の外出や人込みなどはできるだけ避けるべきだろう。手洗いやせきエチケットなど通常の感染症対策も徹底したい。
NHKの集計によれば、国内での感染者は25日午後6時現在、17都道府県で149人に上る。このほか、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員691人、チャーター機で帰国した14人の計854人が感染している。
基本方針は現状について「国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生し、一部地域には小規模な集団感染が把握されている状態だ」としている。安倍晋三首相は「対策チームを編成し、患者クラスター(集団)が発生している自治体をしっかり支援する」と強調した。何としても感染を抑え込まなければならない。
官民挙げて国難克服を
政府の専門家会議は「これからの1~2週間が、急速な拡大に進むか終息かの瀬戸際」とする見解を公表した。
官民を挙げて国難を克服しなければならない。