19年の日本 めでたい令和のスタート


 今年の世相を表す漢字は、新元号の令和にちなんで「令」が選ばれた。一方、前例のない広域集中豪雨に西日本が襲われた昨年は「災」で、今年も東日本の広範囲で台風や大雨の甚大な被害に泣いた(本紙「今年の10大ニュース」2位)。被災地では復旧途上での年越しである。

 天皇陛下が5月に御即位

 被害の甚大化は、地球温暖化による海水温度の上昇で、台風が大型化し冬でも発生することと密接な関連がある。今や被害は地球全体に及んでいる。世界が危機感を共有して対策を講じることが急務である。

 また7月には、京都アニメーションのスタジオに男が放火し、死者36人、負傷者33人を出すなどの惨事もあった(5位)。

 こうした中、今年の1位は「天皇陛下が御即位 『令和』に改元」である。何といっても平成から令和に改まった御代が始まる、めでたい年なのだ。令和は元号では初めて日本の古典(国書)である「万葉集」から引用された。平成の天皇陛下が退位された翌5月1日に、新たに皇太子徳仁親王殿下が第126代天皇に即位された。

 即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」が10月に皇居・宮殿で行われ、外国の元首や各界代表者ら約2000人が参列。パレード「祝賀御列の儀」は台風被害に配慮し11月に延期されたが、皇居前広場や沿道で約12万人が祝福する中でつつがなく執り行われた。これらが少子高齢化問題など困難を抱える日本の未来に、希望を膨らませていることを重ねて喜びたい。

 災害で暗くなる心を鼓舞してくれたのは、スポーツ界の躍動と昨年に続くノーベル賞受賞者が出たことだ。「ワン・チーム」が流行語となった9月の「ラグビーW杯開幕 日本ベスト8」(6位)や、女子テニスの大坂なおみ選手の全豪優勝(1月)、ゴルフの渋野日向子選手の全英女子優勝(8月)など「世界のスポーツ界で若手が活躍」(9位)したのも印象深い。

 ノーベル賞では、リチウムイオン電池を開発した旭化成の吉野彰・名誉フェローが化学賞を受賞(8位)。この発明はモバイル・IT機器や電気自動車の普及につながり、再生可能エネルギーの大量蓄電で化石燃料に頼らない社会実現を後押しするなど未来への貢献も大きい。

 政治では、7月の参院選で自民・公明の与党が改選124の過半数の計71議席を獲得して大勝。安倍晋三首相は11月20日、通算在職日数が2887日となり、歴代最長となった(4位)。長期政権の緩みが批判される一方、トランプ米大統領の令和初の国賓来日(5月)、G20大阪サミット(6月)、ローマ教皇来日(11月)などの対応では日本の存在感を示した。政治の安定はもっと評価されていい。

 消費税率が10月、8%から10%に引き上げられ(3位)、飲食料品などが対象の軽減税率制度も導入されたが、大きな混乱もなく無難なスタートとなった。

 気掛かりは日韓関係悪化

 気掛かりは、徴用工問題などで「戦後最悪」とされる日韓関係(7位)だ。国際法違反状態の韓国側に改善の具体策が見通せない状況のまま越年し、問題の長期化は避けられそうにない。