米の内向き化で日本が重要に
世日クラブ
笹川平和財団上席研究員 渡部恒雄氏が講演
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が16日、都内で開かれ、笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄氏が「トランプ政権の行方と日本の戦略」と題して講演した。
渡部氏は、米国がトランプ大統領の下で「脱国際主義」に傾斜していると指摘し、日本は米国の内向き姿勢が当面続くことを覚悟した上で、戦略を立てていく必要があると強調。米国の負担を日本一国で負うのは不可能であるため、豪州、インド、東南アジア、欧州と連携することが重要であり、「(安倍政権が掲げる)自由で開かれたインド太平洋構想は、そういうラインで非常に正しい」と語った。
渡部氏は、トランプ氏の保護主義的、孤立主義的な政策を懸念しながらも、「中国と真剣に向き合っているところは良い部分だ」と評価。米中の貿易戦争について「米中は少なくともどこかで合意する。だが、米国が中国は敵ではないと思う瞬間まで、厳しい姿勢は続くだろう」と予測した。今後は「米国と中国がどれくらい多くの同盟国、支持者を持つか、という勝負になる」と述べ、米中対立の中で日本の役割は一層重要になるとの見方を示した。
2020年次期米大統領選については、「経済が良い限り、トランプ氏が勝つ確率は、フィフティー・フィフティー以上あると思う」と予想した。
講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は、「新しい元号に決まった令和の意味は、秩序と調和だ。新しい時代を迎えるに当たり、前向きな考え方で行かないと変化はないのではないか」と述べた。