「中国の尖閣挑発は侵略」 領海警備法速やかに制定を


世日クラブ

元統幕学校副校長 川村純彦氏が講演

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が19日、都内で開催され、元統合幕僚学校副校長の川村純彦氏が「中国の海洋進出と日本の安全保障」をテーマに講演した。

川村純彦氏

世日クラブで講演する元統合幕僚学校副校長の川村純彦氏=19日夕、都内。

 川村氏は、最近の中国による尖閣諸島領海に対する挑発行為について、「公船と海上民兵を乗せた漁船群により、実効支配の既成事実化を少しずつ図るものだ」と指摘。このいわゆる“サラミスライス戦略”を「侵略と認識すべきだ」と警告した。

 これに対し、日本は2014年に策定した「防衛計画の大綱」に基づいて、対艦ミサイルの配備などによる南西諸島の防衛強化を推進。米国もまた尖閣にコミットすることで合意するとともに、フィリピンにミサイル部隊を配備するなど、中国の海洋進出に対する日米の阻止網ができつつあるとし、「安倍政権下で大変大きな戦略転換が図られている」と指摘した。

 その一方で、現行の法制では中国の領海侵犯や万一の尖閣上陸の対処に限界があると指摘。「日本は領海警備法を速やかに制定するとともに、尖閣諸島の有人化を図り、米軍射爆訓練場の使用を再開するなど、コミットメントを強化すべきだ」と強調した。さらに、中国のミサイル飽和攻撃を最大の脅威とし、総合防空ミサイル防衛や国土の抗堪力強化のために防衛予算増の必要性も説いた。

 冒頭にあいさつした近藤会長は「臨時国会では憲法改正の話も出てくるだろうが、9条では日本を守り切れない。わが民族は自らの力で守り抜くという強い精神力が必要だ」と強調した。