親子の関係に通じるモルモットの飼育

元横浜国立大学附属鎌倉小学校の教諭と卒業生

 動物飼育を通して、子供の情操教育を目指す全国学校飼育動物研究会の21回目の大会が東京都文京区の東京大学弥生講堂で行われた。口頭発表で元横浜国立大学附属鎌倉小学校教諭の加藤直子氏(現平塚市立崇善小学校教諭)は「子どもと親が実感した継続飼育の学び」と題してモルモットの学校飼育とその死を通して、児童たちが何を感じ、成長してきたかについて、卒業生たちと共に語った。

東京大学弥生講堂で、全国学校飼育動物研究会21回大会

動物の死を通して児童たちの愛情と感謝の気持ちが成長

 平成24年に入学した児童たちがモルモットの「マシュ」(4年生時に死ぬ)、「チョコ」(6年生時に死ぬ)を卒業までの6年間飼育した。飼育を通して動物への愛着を深めたかった。児童たちが「だっこがもっと上手になりたい」という思いを持った時に保護者に「どんな思いで自分をだっこしていたか」という手紙を書いてもらった。

親子の関係に通じるモルモットの飼育

全国学校飼育動物研究会の口頭発表で、モルモットの学校飼育とその死を通して、児童たちが何を感じ、成長してきたかについて語る元横浜国立大学附属鎌倉小学校のの加藤直子氏と卒業生

 手紙を読んだ児童から「人間の赤ちゃんとモルモットの抱き方は違うけど、何回も繰り返して上手になるのは同じ」「頑張って、練習して、うまくなるのは同じじゃないか」という発言が出てきた。親が自分たちを育ててきた気持ちと、モルモットを育てる自分たちの気持ちは同じなんだと気付き始めた。

 土日・祝日、夏休み、冬休みなどは、「ホームステイ」と言って、可能な家庭に預かってもらっている。継続飼育中には何度も獣医師のお世話になった。心配なことがあると、相談したり、定期的に健康診断もしてもらった。

 児童たちが4年生の時、「マシュ」は死を迎え、数カ月前から前脚の付け根にしこりができていた。ホームステイ先の家で死を迎え、保護者が獣医師に電話をかけた。獣医師からは「直前まで食欲があり、痛みや苦しさはなかったはず、子供たちに育ててもらって、幸せな息の引き取り方をしたのでは」と世話をした親子が安心できる言葉を掛けてもらった。

 可愛がって育ててきた動物の死に直面して、とまどったり、死を受け入れるのに時間がかかった。担任の計らいで、児童の思いを聞きながら、「お別れの会」を開いた。

 「よく見てあげ、好きな食べ物、病気などの変化に気付いてあげることができるようになった。動物飼育を通して、コミュニケーションを取ったり、相手のことを考えることができるようになった」「命の大切さを感じた」「悔いが残らないような育て方をした」など子供たちは当時を振り返って思いの丈を語った。

 6年生の時、もう一匹の「チョコ」が死を迎えた時は、子供たちが中心になって、できることを考え行動し、モルモットへの愛情と感謝などを通じて成長を感じられた。