嘉手納ゲート前に溢れる笑顔
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
嘉手納基地のゲート前で米軍に手を振る人々がいる。「グッドモーニング」と大きな声であいさつすると、米軍や軍属が笑顔や親指を上に上げるグッドサインで応える。日本人の基地従業員は恥ずかしそうにしているが、アメリカ人からは100%に近い確率で反応が返ってくる。
これは米軍に感謝と激励の意を表すハートクリーンプロジェクトと呼ばれる運動で、これまでは普天間飛行場(宜野湾市)のメインゲート前で行われていた。参加者は、普天間飛行場のゲートに不法に貼り付けられたテープやリボンを剥がす清掃活動も行い、そのボランティア精神で、あいさつ運動を始めた。
子供たちを喜ばそうと、スーパーマリオの格好をして参加する人の姿もあった。
反基地活動家は、毎週、定期的に米軍の通勤時に合わせてゲート前に現れ、米軍車両に向けてプラカードを叩(たた)きつけたり、「ゴーホーム(家に帰れ)」と罵声を浴びせたりする。子供たちを乗せたスクールバスに対しても容赦ない。
「罪のない子供たちが不憫(ふびん)でならない」と強い思いを抱いた沖縄教育オンブズマン協会会長で元PTA会長の手登根安則氏が呼び掛け、毎週木曜日の朝に、嘉手納基地ゲート前で活動している。「笑顔で応えてくれる。満面の笑みの子供たちの姿を見るのが何よりもうれしい」と言う。「沖縄には基地に反対している人ばかりではないんだということが分かってもらえればうれしい」と別の参加者は話す。
米軍・軍属の多くは、沖縄は決して地元メディアに報じられているような反米反基地の島ではないことを知っている。ただ、毎日通勤するたびに、「帰れ」とか「人殺し」などと罵声を浴びせられてはストレスが溜(た)まってしまう。(T)