保守市政継続求めた宜野湾市民


“安倍批判”だけの革新陣営に嫌気

 4年前、27年ぶりに革新から市政を奪還した佐喜真氏。大きな失政はなく、市民は保守市政継続を求めた。革新に戻れば再び経済が低迷するとの危機感が強く、宜野湾市民の生活とは直結しない「辺野古移設反対」の声を封じ込めた。

 市民目線で地に足を着けた市政運営が高く評価され、子育て教育や経済を重視した20代から40代の若い世代から支持を得た。

 普天間飛行場問題では、佐喜真氏は移設先の名護市辺野古には言及しなかった。基地被害を被っている市民の立場を考えれば、「一日も早い危険性除去」を求めるのが市長としての仕事であることを主張。基地返還後の跡地利用でも琉球大学病院を中心にした高度医療拠点整備、ディズニーリゾートの誘致など、具体的なビジョンを示した。

 また、翁長知事が辺野古沖の埋立承認を取り消したことにより移設が遅れ、市民が苦痛から解放されないとの理由で、市民112人が知事を提訴。この裁判を支援する市民の署名は2万筆を超えた。翁長県政に対する不満が選挙結果として表れた形だ。

 歴史的大接戦から頭一つ抜け出した転機となったのは、20日の小泉進次郎衆院議員の演説だ。それ以外にも自民党や公明党の国会議員が連日のように応援に入ったが、表舞台に立つことはなく、企業や業界団体のてこ入れを図ったことも票の積み上げを後押しした。

 一方、新人の志村氏は知名度不足を補うため翁長氏と二人三脚の選挙戦を展開。告示後の演説先、訪問先には必ずと言っていいほど翁長氏の姿があった。翁長氏は公務をほとんど入れずに連日、宜野湾入りした。

 演説やチラシでは安倍政権と現市政に対する批判ばかりが目立ち、まちづくりに対する意欲が有権者に伝わらなかった。

 革新陣営は辺野古移設阻止の民意を得るための選挙と位置付け、組織・政党を挙げて全国動員したが、おびただしい数の演説カーや応援団がかえってマイナスに作用したとみられる。

(那覇・豊田 剛)