保革対立で新年突入

沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 今年の各種新年会では、県庁や経済界で革新勢力が存在感を示している。翁長雄志(おながたけし)知事は県職員向けの年頭のあいさつで、「米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設断念を求めた「『建白書』の精神に基づき、普天間基地の県外・国外移設を求め、新辺野古基地建設は許さないことを国内外にしっかり働きかけたい」と決意を新たにした。  経済界は革新県政に冷ややかな視線を向ける。県商工会議所連合会主催の新年会で、会長の國場幸一氏は、「地域経済の発展に向け『オール沖縄』で邁進(まいしん)する」と述べるにとどめ、基地問題には触れなかった。  一方、自民党県連は革新県政に徹底的に対抗する構えだ。県連の新年会で、具志幸助副会長は「翁長さんは私たちの盟友だった。しかし、彼は衆院選で自民党を全部潰すと言って戦い、我々は潰された」と述べ、翁長知事に簡単には協力しない構えを見せた。参院議員の島尻安伊子氏も「基地問題において安倍政権と共同歩調をなかなか取れない現政権が、満額以上の予算を取るのはかなり困難」と厳しい見方。先の國場氏は「昨年の知事選で自民党は4割の支持を得て、『オール沖縄』ではない」と自民党に奮起を促した。  また、観光業界の新年会では、革新政党の参加者がほとんどいなかった昨年と比べて、今年は翁長知事を取り囲むように最前列に革新政治家が陣取った。その一方で、自民党からの参加者は少なかった。

 市長会と町村長会の合同新年会では、地元メディアが知事選で対立した翁長氏と保守系市町村長らの和解・協調を演出した。ある市長は「知事が基地問題でどう出るか様子見の段階だ」と述べるなど、実際は雪解けとは言い難い状況だ。(T)