フェンス清掃通じ日米友好深める 全国から63人集い普天間飛行場視察
宜野湾市の普天間飛行場周辺では過去1年間、基地反対派がフェンスを汚したり、米軍軍属に対するヘイトスピーチを行っている。こうした状況を見かねた地元有志がフェンスの清掃やゲート前でのあいさつ活動をボランティアで始めたが、全国から共感の輪が広がっている。10月上旬には全国から60人以上が参加する中、フェンス清掃活動を実施、米軍との絆と友好を深めた。
(那覇支局・豊田 剛)
「同盟」の役割を認識
「報道と事実が違う」「警察はなぜ黙認?」
9日午前6時、全国から集まった63人と地元のボランティア約30人が普天間飛行場の野嵩ゲートのフェンスの清掃とフェンス前の草刈りやゴミ拾い活動をした。63人は、自動車用品大手イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏が設立した「日本を美しくする会」の会員らで、全国津々浦々から集まった。30度近い暑さの中、基地反対派が「NO OSPREY」と書かれたプラカードを掲げて抗議活動をしている背後で、会員らは黙々と清掃活動を行った。同会が野嵩ゲートを清掃するのは今年6月に続いて2回目で、前回の3倍以上の人数が集まった。
フェンスには赤と黄色のカラーテープが巻きつけられ、段ボールや旗、時にはガラスの破片などの危険物もくくりつけられている。毎週日曜日、浦添市在住の手登根安則氏を筆頭にボランティア清掃活動が行われており、多いときには100人近くが参加している。普天間基地司令官のジェームズ・フリン大佐をはじめ、多くの海兵隊員も参加するようになった。清掃活動をきっかけに海兵隊員と地元住民との交流の場が増えた。
清掃活動後、美しくする会の鍵山相談役は、「平和を訴えるために基地フェンスを汚すのは間違っている。いかなる理由があれど、街を汚す行為に正義はない」と反基地活動家の公徳心の欠如を指摘した。
美しくする会のメンバーと地元のボランティア約90人はフェンス清掃活動後、普天間飛行場を視察した。
海兵隊を代表して普天間飛行場副司令官のショーン・パタック中佐がフェンス清掃活動に感謝の意を述べた上で、普天間飛行場の歴史や役割について解説した。
「米国が土地接収した当時、普天間飛行場とその周辺は野原だったが、飛行場が運用されるようになると、基地の周りにいろんな建物ができた」
同中佐は、普天間基地ではボランティア活動や基地公開のイベントなどを定期的に実施し、常に「良き隣人」であるよう努力していると強調した。
最近の成果としては、緊急時にはパトカー、救急車、消防車が基地を通行でき、津波発生時には基地より西側の住民が基地を通過して避難できるよう、宜野湾市と協定を結んだ。避難訓練でも地域住民が基地を通過した。
海兵隊は、紛争地帯および作戦域に96時間以内で展開しなければならず、飛行部隊は地上部隊や兵站部隊など他の部隊・基地の近くにいる必要がある。フリン大佐は、基地周辺が住宅密集地となってしまった現在、日米両政府の合意通り、移設が必要との認識を示し、「普天間にいる間は、常に安全保障と住民の安全のために最善を尽くす」と語った。
米軍による説明を聞いた後、参加者はバスで基地内を見学。途中、プレハブ倉庫の壊れた扉が目に付いた。昨年の大型台風の影響だそうだ。17年前に移設方針が決まったため、普天間の設備投資のための予算が執行されなかったことが影響しているという。
また、基地に隣接して建てられた小学校を目の当たりにした参加者は「なぜわざわざこんな近くに」と怒りをあらわにした。
滋賀県から参加した60代の男性は「米軍は自分たちの都合だけで駐留しているのではなく、日本と地域の安全を担っていることを実感できた。報道で見聞きする内容とは違い、基地は地元に歓迎されていることが分かった」と話した。
基地見学が終わる頃、ゲートが再び活動家によって汚されたという報告が入ると、参加者らは驚きを隠せない様子だった。東京から参加した40代の男性は、「(米空軍)横田基地ではこんな汚れたフェンスを見たことがないし、警察が黙認していることは信じられない。近いうちにまた清掃活動に来たい」と誓って基地を後にした。