尖閣諸島の字名 「登野城尖閣」に変更提案


石垣市議会で可決へ

 沖縄県石垣市が行政区域として管轄する尖閣諸島について、同市は字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を、9日開会の市議会6月定例会に提案することがこのほど分かった。市議会は保守系与党が多数を占める。22日の最終本会議で可決されれば、10月1日に施行される見通しだ。
 尖閣諸島は五つの島で構成される。可決されれば全て「字登野城(とのしろ)」から「字登野城尖閣」に変更される。小字と地番は「南小島2390」「北小島2391」「魚釣島2392」「久場島2393」「大正島2394」のまま変わらない。

 字名だけで実際の場所と区別できないことから石垣市は2017年に検討委員会を開き、字名に「尖閣」を入れる方針を決定。18年6月には、市議会が字名変更を求める決議を賛成多数で可決した。

 尖閣諸島をめぐっては、5月にわが国の領海内で与那国町漁協所属の漁船が中国公船に追尾されるなど、日中間の緊張が高まっている。議案提出のタイミングについて中山義隆市長は「準備が整ったから」と述べ、尖閣諸島情勢とは無関係との認識を示した。

 尖閣諸島が本籍で、15年に字名変更の陳情をした南西諸島安全保障研究所の奥茂治所長は、「住所だけでは場所が明確でないことから字名変更を求めてきた。私を含め本籍を尖閣諸島に移した42人にとってうれしい知らせ」と述べた。その上で、地名に尖閣の文字が入ることで、大きな布石になり、領有権を主張する中国に対し抑止力になるとの見方を示した。

 本籍地について、日本の領土内であれば、他人の土地、先に他人が登録している地番であっても可能。申請されれば、法的に拒むことはできないことになっている。

(沖縄支局・豊田 剛)