内閣改造があっても報道番組の話題をさらう疑惑の韓流「劇場政治」

◆曺国氏スキャンダル

 今月も韓国の文在寅政権がテレビ報道の話題をさらった。だが、内容は変化してきている。…徴用工問題、日本製品不買運動、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄など日韓関係から文政権内の不正に焦点が移った。

 「曺国」を人名だと分かる日本人は殆(ほとん)どいなかったはずだ。文大統領側近の名前であり、今や「チョグク、チョグク…」とニュース、ワイドショーで繰り返し呼ばれている。外国の政治問題にお茶の間の関心がこれほど集まるのは異例だ。大統領府民情首席秘書官から法相に任命された曺国氏だが、娘の高麗大学裏口入学疑惑、息子の兵役延期問題、妻の私文書偽造容疑、家宅捜索など次々と疑惑が明るみになっている。

 TBS「サンデーモーニング」は、曺氏について1日放送、8日放送などで取り上げた。フジ「日曜報道ザ・プライム」は1日放送から22日放送まで毎週連続で特集したが、曺氏が過去に極左団体「南韓社会主義労働者同盟」のメンバーで社会主義思想の持ち主であり、曺氏の著書を読んで感銘した文大統領との思想的な繋(つな)がりを指摘。

 これほどのスキャンダルを抱えながら法相任命を強行したのは一つには「検察改革」のためだが、その先には社会主義・韓国と北朝鮮との統一という青写真があり得るなど臆測を呼んでいる。

◆“壊す政治”で視聴率

 こうなると、日本の法相より知名度が高いかも知れない。実際、11日に内閣改造があり、7月に参院選もあったが、日本の政治は脇に置かれている。政治の安定と関心の低下はコインの裏表だ。

 が、かつて日本の政治もワイドショー化したことがある。小泉純一郎首相の「劇場政治」だ。「私、小泉が自民党をぶっ壊します」と2005年の郵政解散総選挙で息巻き、テレビ視聴率を集めた。テレビ、マスコミは、自民党叩きをした自民党の小泉首相の次は、“壊し屋”小沢一郎民主党代表の「政権交代」に注目していった。

 7月の参院選NHK開票速報の視聴率はビデオリサーチの調べで14・7%だったが、「小泉劇場」から政権交代に向かう時期はさらに高かった。郵政解散の05年衆院選のNHK開票速報が20・3%、民主党が勝利した07年参院選は同19・9%、民主党への政権交代となった09年衆院選は同24・7%、日本テレビの開票特番は26・4%を記録した。当時、民放CMのドル箱だったプロ野球巨人戦が視聴率10%を割るようになり、日曜夜でも国政選挙投票日はプロ野球が消え開票特番に取って代わった時期でもあった。

 同じ頃、視聴者が日本のドラマに飽き、フジが03~04年に放映した韓国ドラマ「冬のソナタ」がヒットして韓流ドラマのブームが起きたが、今日、日本の政治が落ち着いたところで、テレビは文政権で韓流「劇場政治」を仕立てたようにも見える。韓国の政治は想定外に激しい。

◆冷静さ示す安倍内閣

 「安定と挑戦内閣」と名付けた第4次安倍第2次改造内閣が発足し、NHK「日曜討論」は22日、「安倍改造内閣内外の課題にどう向き合う」と題して6閣僚にインタビューした。ここで韓国について質問された閣僚は原則的で冷静な姿勢を示している。

 徴用工問題で「日韓請求権協定に違反する韓国最高裁判決があった。それは国内問題だと思っている」「冷静に感情的にならず我が国の立場を説明していく」(菅義偉官房長官)。「日韓両国は1965年の国交正常化以来、日韓基本条約・日韓請求権協定の基礎の上に友好協力関係を築いてきた」「韓国側に国際法違反の状態を是正するように求めていく」(茂木敏充外相)。「GSOMIAに飛び火しているが、韓国側には北朝鮮の問題がある中で日米韓しっかり連携していくことが必要だと認識してもらい賢明な措置をとってもらいたい」(河野太郎防衛相)。

 鳴かぬなら鳴くまで待とう―の印象だ。

(窪田伸雄)