韓国の「ホワイト国」除外に至る理由がよく分かる古川氏の産経「正論」

◆説明不足の各紙報道

 日本政府が韓国向け輸出管理の厳格化を発動し、手続き簡略化の優遇措置を受けられる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を2日にも閣議決定する。そうなれば、政令公布を経て約3週間後には実施となり、軍事転用の恐れありと判断された品目は個別契約ごとに許可申請が必要となる。この件では政府は先月4日から、フッ化ポリイミドなど半導体材料3品目の韓国向け輸出規制を厳しくしている。日本は平成16(2004)年に韓国をホワイト国に指定していたが、指定取り消しとなれば韓国が初めてとなる。

 どうして、こういうことになったのか。

 優遇措置を取れない「不適切な事案」があり、両国間の信頼関係も失われたからだ。理由の詳細について政府は、経済産業省の担当者が急遽(きゅうきょ)来日した韓国の産業通商資源部の担当者に、長時間にわたり具体的に丁寧に説明している。

 だが、新聞などの報道は「不適切な事案」などを言う政府発表をそのまま伝えるだけで、その具体的な内容にまで踏み込み、丁寧に説明したものは多くない。これだけ両国間で大きな問題となっている割には、実のところはよく分からず歯がゆい。報道はその都度の一報報道だけで不十分だと言わなければならない。

◆意思疎通とれぬ国に

 そうした中で、問題について的確で納得できる解説をしている記事は、国連安保理専門家パネル元委員の古川勝久氏の「今の韓国『ホワイト国』ではない」(産経7月26日「正論」)と小紙編集委員の岩崎哲氏の「フッ化水素はどこへ行った」(小紙同21日「何処へゆく韓国」4)の2本である。

 古川氏は韓国の産業通商資源省の戦略物資管理院(以下、管理院)の「例年報告書」に見る近年の豹変(ひょうへん)を示し、「韓国はもはや普通の意思疎通すらとれない国に変貌してしまった」と嘆く。2015年の報告書では「管理院では…輸出統制先進国といえる米国と日本の行政処分事例および関連規定等を調査して、国内実情との比較を通じて、企業に対する処罰だけでなく、[輸出管理]制度に対する[企業の]認知の強化…のように、ポジティブな効果を[企業に]及ぼす方法を研究している」。そして16年の国政監査に言及した18年の報告書でも「[韓国国内で]反復的に戦略物資の不正輸出事件が摘発された問題の原因として、関係行政機関による処罰(輸出制限など)が軽微である点が指摘された(以下、略)」としていた記述を紹介。

 これらが1年もたたないうちに「我が国輸出統制制度の実効性と関連して問題を提起した国家は日本しかない」などとする記述に豹変したと指摘。「日本政府は韓国政府に情報提供や韓国企業への指導などの協力を要請したが、文在寅政権は何らまともに応じなかった」と、やむなく取り消しに至った経緯を解説する。

◆管理適正でない疑い

 韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件、「徴用工問題」をめぐる不誠実な対応、「慰安婦合意」の無視などに加えて、目下の韓国の輸出管理の「不適切な事案」など、全ての問題は韓国が原因をつくっている。日本の不信が根深いのも当然で、「ホワイト国」除外を撤回するなど、とんでもない話だとよく理解できよう。

 経済産業省が行った韓国の「ホワイト国」除外の意見公募に4万人を超える応募があり、大半が除外に賛成だったという。メディアの情報がこれほど不足していても、人々はことの正邪をよく理解しているのだ。

 小紙の岩崎氏は「フッ化水素の輸出量に対して[韓国の]半導体生産量が合わないのだ。合わない分はどこへ行ったのか」と専門家の指摘を紹介。問題は韓国が「これからでも協議に応じ、フッ化水素の使い道を数字で明らかにし、管理が適正に行われていることを示せばいいだけの話」で、それをしないのは「疑念を自ら呼び込むようなものだ」と、韓国の理性を欠いた対応に呆(あき)れる。これまた然(しか)りである。

(堀本和博)