日経の説く「多様な結婚」の行き先は無責任な性行動が横行する無秩序社会
◆まるで子供はペット
この10日間の新聞で、筆者のイチオシ記事は「『多様な性』の実体 ゲイ相手『3桁』の無秩序」と題する本紙15日付「記者の視点」だ。森田清策氏が、「LGBT」(性的少数者)礼賛の他紙では決して知ることのできないゲイ(男性同性愛者)の性行動の実態を紹介していたからだ。
記事は、動物行動学研究家の竹内久美子氏が今年3月末に上梓(じょうし)した『フレディ・マーキュリーの恋』(文春新書)を取り上げる。フレディは英ロックバンド「クイーン」のボーカルで、エイズウイルスに感染し1991年に亡くなった。同書は7年前に出版された増補改訂版だそうだが、そこにゲイとレズビアンを対象とした米国の調査結果が掲載されていたという。
それによると、ゲイに「これまで経験した相手の数」を聞いたところ、「100人以上が75%」「1000人超えが27%」にも上った。ゲイの性行動の実態は以前から指摘されていたが、こうした数字で示されると、その野放図ぶりが改めて浮き彫りにされる。
フレディはゲイだったが、1981年に最初のエイズ感染者いわゆるゼロ号患者として認定された31歳男性もゲイである。米国の医療ジャーナリスト、ロビン・マランツ・ヘニッグ女史の『ウイルスの反乱』(青土社)によれば、男性には年間250人以上のセックスパートナーがいて、ニューヨークやロサンゼルスなど8都市で40件以上エイズを感染させた。
「1982年に(エイズと)知らされた後も彼はエイズをうつす恐れのあることを言わなかった。むしろ逆に駆り立てられるように性行動を続け、行為が終わってから『俺は死ぬことになっている。おまえもだ』と男たちに話していた」
◆性的自由が病気拡散
米国スクリプス研究所ウイルス免疫生物研究部長のマイケル・オールドストーン博士は『ウイルスの脅威』(岩波書店)の中でこう述べている。
「1970年の終わりから80年代の初めは、同性愛が社会的に容認された劇的な時期であった。(とくに)サンフランシスコは性的自由の約束の地となり、74年から78年にかけて2万人近い同性愛の男が移住し、その後も毎年約5千人の流入が続いた。サンフランシスコで献血される血液の5ないし7%がゲイからの献血と推定されている」
エイズ(後天性免疫不全症候群)を起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)は血液の中にあり、それで献血から「薬害エイズ事件」が引き起こされた。薬害エイズは封じ込められているが、ゲイ同士では感染が今も続いている。
東京都が今年3月に発表した2018年のエイズ発生動向調査によれば、新たな感染者・患者422人のうち、性的接触によるものは87・9%を占め、中でも男性の同性間性的接触によるものが74・4%だった。ゲイが圧倒的に多いのは全国共通の傾向だ。
オールドストーン博士は性的嗜好(しこう)にかかわらず際限のない野放しの性的自由は、エイズのほかにB型肝炎、アメーバ感染症、ジアルジア症、淋病、梅毒、カリニ肺炎、カポジ肉腫などさまざまな病気をばらまいたと指摘する。
◆まるで子供はペット
森田氏はLGBT運動の主張はゲイの性行動の実体を無視したものとし、「その行き着く先にあるのは無責任な性行動が横行する無秩序社会であろう」と警鐘を鳴らしている。「多様な性」がそうなら、「多様な結婚」はどうだろうか。
日経3日付社説「多様な結婚の後押しで子供増やしやすく」は、「子供は結婚した夫婦が持つものという規範意識を薄め、子育てを楽しみにしている男女が臆することなく同居できるようにしたい」とか、「結婚の試用期間」を提唱している。まるで子供はペット、結婚は労働契約である。
日経が言うように規範意識を薄めれば、どんな社会がもたらされるだろうか。こちらも無責任な性行動が横行する無秩序社会に違いない。
(増 記代司)