日韓関係悪化は韓国側に問題ありと党派を超えた認識の「日曜討論」
◆残念な韓国議長発言
北朝鮮に非核化を求める米朝再会談を前に、日本と韓国の関係が文在寅政権の下で悪化している。2月に入ると従軍慰安婦問題をめぐり文喜相・韓国国会議長が、米ブルームバーグ通信とのインタビューで「日本を代表する王(天皇)が(慰安婦に謝罪)するのが望ましい」と述べ、加えて「その方は戦犯の主犯の息子ではないか」と発言し、両国間の溝をさらに広げた。
8日のインタビューを9日に韓国メディアが一斉報道し、日本側のメディアに跳ね返った。その一つ、10日のテレビ朝日「サンデーLIVE!」は、発言を扱った新聞記事を紹介。コメンテーターの野村修也弁護士は、「2012年にも当時の李明博大統領が同じような発言をして、日本の各政党はみな批判した。例えば日本共産党の委員長がラジオの放送で日本の憲法では天皇には政治的権能がないので、そこに謝罪を求めるのは筋違いだとはっきり言った。全くその通りだと思うので、今回も同じような批判が起きてしまうと思う」と懸念した。
案の定その通りになったが、17日のNHK「日曜討論」で各党政策責任者の議論を視聴すると、共産党の笠井亮政策委員長は「重要なのはかつての侵略戦争と植民地支配に対する日本政府のきちんとした反省を前提にすること」と述べ、日本側の責めを強調した。保守の李明博政権の時より、南北融和を進める現在の文政権との左翼連帯が大事なのであろう。
国民民主党の泉健太政調会長は「最近の韓国の一連の動きは残念だ」と前置きし、「平和の問題、戦後処理の問題についてはわが国も真摯(しんし)に向き合ってきたと思う。天皇陛下のお言葉についても、両国でしっかり議論し、『痛惜の念』というお言葉でしっかりとこれまで意思を表明してこられている」と指摘。韓国側の主張は全く話にならないと切り捨てた。
◆韓国批判相次ぐ各党》
公明党の石田祝稔政調会長は「言うべきことははっきり言っていく」と述べ、日韓基本条約に触れ「請求権協定、経済協力、ここで日本の血税で、当時の韓国の国家予算の1・6年分を出している。そういうことが韓国の中で知られているのか」と訴えた。
日本維新の会の浅田均政調会長は、慰安婦財団解散、徴用工判決、レーダー照射問題に加え「極め付きは今回の韓国議長発言問題」と批判。差し迫った重要問題は徴用工原告弁護側の日本企業の資産差し押さえであるとして、「日本の国民の財産が侵害されるところまできている」と、政府に対応を求めた。
立憲民主党の長妻昭代表代行は、「韓国は考えられない言動を続けており、やはり日本としては毅然(きぜん)とした態度で臨む必要がある」と主張。3月1日の抗日独立運動100年の前に「日本に対して厳しく言えば、というような雰囲気が韓国にあるとすれば大変問題だと思う」と懸念した。
自民党の岸田文雄政調会長は、「残念な動きが続いている。韓国側の対応を見ていると、感情的であったり、われわれの提案に対して答えが返ってこなかったり、また説明が途中で変化したり、どうも理解し難い対応が多いと感じている」と述べ、韓国側にしっかりものを言うと同時に「国際世論をいかに巻き込むのか、これが大事だと思う」との考えを示した。
国家間の合意や基本条約を守らず、軍艦が哨戒機を撃墜しかねない態勢を取り、日本国憲法、東京裁判、講和条約の理解もなく一国の国会議長が他国の天皇を「戦犯」と呼ぶ韓国側に対して、各党はほぼ党派を超えて重大な懸念を共有している。
◆日韓に悪夢の文政権
反安倍政権のスタンスを取るTBS「サンデーモーニング」だが、文議長発言についてジャーナリストの青木理氏は、韓国記者に聞いた話として「一発解決できるんじゃないかという、ある種善意で言ったんじゃないかと分析している記者もいる」と擁護したが、韓日議員連盟会長も務めた“知日派”ですら「分かっていない」と、かばい切れない様子。福山大学客員教授の田中秀征氏は「煮えくり返るようなことも正直言ってある」と語っていた。
同じ番組で安倍首相の「悪夢の民主党政権」発言を批判的に扱っていたが、「悪夢」は日韓関係にとって文在寅政権だと感じる。
(窪田伸雄)