左翼に利用されるLGBTブームの「不都合な真実」を暴露した新潮

◆少ない当事者ニーズ

 新年度から、福岡市がいわゆる性的少数者(LGBT)カップルの関係を承認する「パートナーシップ宣言制度」をスタートさせた。地方自治体が同性カップルの関係を公認し、その証明書を発行するのは同市で7例目。大阪市も導入を検討しているというから、この制度はさらに広がりそうだが、果たして当事者のニーズはどれほどあるのか。

 制度導入の皮切りとなったのは東京都渋谷区だが、人口約22万人を抱える同区では、導入から2年半経過しても利用は30件に満たない。

 2016年6月に同じような制度を導入した兵庫県宝塚市に至っては、利用者は「0」(3月末現在)。同性愛者らへの差別があるから制度を利用しづらい、と導入自治体を擁護する分析もあるが、もともと当事者のニーズは少ないというのが実態だろう。

 渋谷区がパートナーシップ制度を盛り込んだ条例を制定する際に持ち出された理由は、同性カップルが部屋を借りたくても不動産屋から断られる、あるいはパートナーが入院しても面会を拒否されるといった差別だったが、それは「LGBT活動家がきわめて希少な事例を針小棒大に言いふらしているだけ」である。

◆64組中10組が“離婚”

 こんなことを、「異性愛者」(普通の人、LGBT活動家たちがそう呼んでいる)が言えば、左がかったマスコミは「差別だ」と大騒ぎするが、前述のコメントはゲイ(男性同性愛者)、つまりLGBT当事者の指摘なのである。「週刊新潮」4月12日号に掲載された「同性愛研究家ジャックK」による「『LGBT』ビジネスの不都合な真実」と題した記事がそれで、その副題は「反権力が権力者に豹変する」。

 現在のLGBTブームを後押ししているのは、主に反体制の新聞・テレビと左翼陣営だから、新聞社系の週刊誌ではまず通らない企画で、出版社系週刊誌の存在価値を示した記事である。

 自分たちに不都合な事実を隠すのは、新聞・テレビだけではない。制度を導入した自治体側もそうだ。渋谷区の制度利用第1号は既に“離婚”したが、これも本人たちが公表したから明らかになったことで、区側は関係解消件数さえ出そうとしない。ブームを広めることで、同性間の性関係に異を唱える人々の意識を変えよう、という狙いの妨げになるからだ。

 「世田谷区では、区のパートナーシップ宣言書の交付64組。それを解消した数字は非公表だが、すでに10組が別れたという情報もある」とジャックK氏。本当なら驚くべき“離婚率”の高さで、制度の見直しや廃止は避けられないところだ。

 ジャックKに言わせると、同性愛者差別が激しい米国と違って、彼ら彼女らへの差別がそこまで激しくない日本では、同性愛者だと自己主張しなければ「社会の中で不自由なく暮らすことができる」。むしろカミングアウトすると「色眼鏡で見られるばかりで、得することはなにもない」。

◆広告代理店の関与も

 LGBTブームには、一部のマスコミや左翼陣営のほか大手広告代理店も絡んでいる。15年に調査を行って、人口の7・6%がLGBTであり、その市場規模は「5・94兆円」と発表したのは電通だが、「LGBT向けの商品やサービスを開発して成功した企業の話は寡聞にして知らない」(ジャックK氏)。

 「LGBT商法」の失敗例の一つにトイレがある。活動家はメーカーと組んで、LGBTという文字やそれを象徴する虹色のマークの付いたトイレの普及に努めるが、それを利用することは、自分は当事者であるとカミングアウトしたことにつながるから、利用者はほとんどいない。

 当事者の意向を無視し、LGBTトイレを設置する傾向は「自治労や日教組が強い地方自治体や公立学校に顕著である」。ジャック氏はこう指摘し、活動家と左翼思想の親和性を強調した。

 パートナー制度導入で主導的な役割を果たしたのは、渋谷区の場合、長谷部健・現区長で、彼は博報堂の元社員。福岡市の高島宗一郎市長は、元九州朝日放送アナウンサーだし、宝塚市の中川智子市長は「土井チルドレン」と言われた元社民党の政治家。ジャックK氏が本当にゲイかどうかは調べようもないが、彼が言っていることが的を射ていることは、大手広告代理店、メディア、左派の政治家という、LGBT活動を後押しする首長たちの経歴を見れば分かる。

(森田清策)