オスプレイ配備めぐり沖縄紙と共に反米・反基地運動の代弁役担う朝日
◆「沖縄差別」は間違い
「沖縄差別だ」。こんな見出しが沖縄の地元紙に躍ったのは6年前のことだった。
2012年に米海兵隊が垂直離着陸輸送機オスプレイを沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に導入することを決めると、沖縄タイムスと琉球新報は「沖縄に欠陥機を押し付ける差別」とのキャンペーンを繰り広げた。
それは異様を極めた。オスプレイに「欠陥機」「未亡人製造機」とのレッテルを貼り、宜野湾市で開かれた同年9月の反対集会では参加者が2万5000人(警察調べ)だったのを主催者側(左派勢力)と歩調を合わせ「10万人『差別』に抗議」(タイムス同9月10日付)と報じ、反オスプレイが県民総意のように装った。
だが、この「沖縄差別」の主張が間違っていたことは5日、東京都福生市にある横田基地にオスプレイ5機が到着したことで明らかだろう。これをタイムス6日付は「オスプレイ 全国の空へ」と沖縄差別の持論を忘れたかのように中面でさらりと報じている。
むろん横田基地への配備は「沖縄差別」と批判されたからではない。当初の計画に沿ったものだ。それは12年時点ですでに分かっていたことだ。海兵隊は当時、カリフォルニア州ミラマーの第16海兵航空群などに150機以上を実戦配備済みだった。
さらに空軍や海軍にも配備を進め、米軍全体の主力輸送機にする予定だった。今回、横田基地に到着したオスプレイは空軍仕立てのCV22(海兵隊はMV22)で、特殊作戦用だとされている。朝鮮半島や中国の軍事情勢を見据えての展開であるのは論を待つまでもあるまい。
◆共産党機関紙も同然
これを朝日は沖縄紙と見まがうほど反対派への肩入れ報道に終始している。5日付夕刊の社会面トップは「『オスプレイ帰れ』抗議」の見出しを掲げ、同機が陸揚げされた横浜港での「市民団体」の抗議活動を報じている。
記事によれば、「市民団体」とは米軍基地の撤去・返還を求める「神奈川県平和委員会」のことだった。平和委員会は共産党と共闘する反米・反基地団体として知られる。それが朝日にかかれば「市民団体」にすり替わっている。
記事では、そばの公園に散歩で立ち寄った男性が「基地がある以上、配備はさけられない。事故がないように最大限努力してもらいたい」と語っているが、こうした声は「事故懸念の声」との見出しで小さく扱われている。
翌6日付の東京版は「市民ら『配備許すな』」をトップに据えた。こちらはオスプレイが到着した横田基地前で「横田基地の撤去を求める西多摩の会」のメンバー15人が基地のゲート前で反対の横断幕を掲げたと報じている。
同会も共産党系の名高い反米・反基地団体だ。市民とせず「市民ら」とわざわざ「ら」を付けたのは参加者15人の中に市外のプロ運動家が少なくないからだろう。
横浜港では「オスプレイ帰れ」、横田基地では「配備許すな」を見出しに立てたが、いずれも共産党系団体のスローガンだった。それをそのまま紙面を飾っているのだから、朝日は「赤旗」張りの共産党機関紙も同然だ。
◆市民の声伝えた毎日
この点、毎日は違っていた。6日付東京版には「住民 広がる不安 『安全面に配慮を』」とある。記事は「米軍基地に反対する実行委員会」のメンバー20人の集会を伝える。朝日とは団体名も参加人数も異なっているが、掲載写真には「西多摩の会」とあるから、どうやら同じらしい。要する左翼団体の少人数のパフォーマンスだ。
そうした反対運動のスローガンを毎日は見出しに取らず、市民の声をきちんと伝えている。例えば、基地に面した国道16号線沿いの店でつくる福生武蔵野商店街振興組合の冨田勝也組合長の声がその代表だろう。
冨田組合長は「何十年も商売をやってきた。危険だからと店を畳むわけにいかない。とにかく安全面に配慮してほしい」と語っている。他の市民も同様の発言をしており、それで毎日は「安全面に配慮を」との穏健な見出しを立てたのだろう。
こうしてみると朝日は沖縄紙と共に反米・反基地運動の代弁役を担っていることが浮き彫りになる。これを世間では偏向報道と言うのである。
(増 記代司)