「出会い系」通い元官僚の中学講演で左派学者使い偏向報道したNHK

◆懲戒処分受けた人物

 「国が学校に授業の内容を問いただす異例の事態です」

 15日のNHK総合テレビの「ニュース7」、その後の「ニュースウオッチ9」でも、前川喜平・前文部科学事務次官が公立中学校(愛知県内)の総合学習で講演したことで、文科省がなぜ同氏を講師として招いたのか、と学校側に質問したことを大々的に取り上げた。

 この日だけでなく、それから数日連続し、またラジオでも報道しているから、この問題に対するNHKの熱の入れようが分かる。その視点は「教育の不当な支配」だが、しかし「不当な支配」を強調しようとすればするほど、NHKの左翼偏向を露呈させる結果を招いている。

 いずれのニュース番組も「教育は、不当な支配に服することなく」とする教育基本法の第16条を持ち出し、文科省の対応を「異例だ」とする。しかし、問題となっている前川氏は、ご存じのように、出会い系バー通いをしていた上に、文科省による組織的な天下り斡旋(あっせん)問題で懲戒処分を受け退職している。

 そのような人物を、中学校の校長が総合学習の講師として招く方が「異例の事態」ではないのか。校長は前川氏と知り合いだったそうで、その人柄を熟知し、信頼できる人物と判断して講師を依頼したと弁明するかもしれない。しかし、中学校の校長は、重い公的責任を背負う立場だ。

 文部行政のトップにありながら不道徳とみられる行為によって社会から批判され、また官僚としては懲戒処分を受けた人物との付き合いは、個人的交際にとどめておくべきである。自らが責任を持つ学校に講師として招くことは控えるのが、教育者として分別ある行動というものだろう。

◆放置する方が無責任

 番組は「講演内容に問題はなかった」という参加者の声を流していたが、たとえ講演に政治的な内容はなくても、出会い系バーも天下り斡旋も大きな問題ではないという誤ったメッセージを受け取る生徒がいないとも限らないのである。だから、文科省が講師に選んだ理由やその経緯などを問い合わせるのは当然のこと。むしろ、放置する方が責任を問われる。ましてや不当な支配ではまったくない。

 なのにNHKは、子供たちが竹槍(たけやり)で軍事訓練する戦前の映像を流していた。この手法は、視聴者に国による教育支配の恐ろしさをあおるための“印象操作”である。

 さらに、公共放送でありながら、NHKが左派思想に支配されていることを示したのは、番組でコメントを取った学者だ。前述の両番組は日本教育学会の広田照幸会長を登場させ、文科省の対応は「教育の不当な支配に当たると解釈されてもおかしくない」と語らせた。

 では、広田氏とはどのような学者か。2015年7月、「学問の自由をめぐる危機――国旗国歌の政府『要請』について考える」と題したシンポジウムが東京大学で開かれた。主催したのは同氏らが立ち上げた「学問の自由を考える会」。

 シンポジウムが行われた背景には、当時の下村博文文科相が国立大学長会議で、「国旗と国歌の取り扱いを適切に判断してほしい」と、各大学の入学式や卒業式で国旗掲揚と国歌斉唱を行うよう要請したことなどがあった。

 同年3月の卒業式で国立大86校のうち12校が国旗掲揚を、72校が国歌斉唱を実施しなかったことが分かっている。下村氏は「大学が適切に判断してほしい」と断った上で要請しているのだから、何ら問題になるような要請ではない。しかし、広田氏らは「不当な支配」につながると反発し、シンポジウムを開催したのだ。

◆保守派講演なら批判

 さらに、このシンポジウムには、法政大学の山口二郎教授も報告者の一人として参加している。同年8月、国会前に左翼が集まって行った反安保法制デモで「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と、極めて暴力的なアジ演説をした人物だ。これだけでも、広田氏が左派の教育学者であることは歴然としている。

 NHKは左派の有識者が中学で講演する場合、それが出会い系バーに通っていたり、天下り問題で懲戒処分を受けたとしても問題にしないだけでなく、それを問題にする側を批判するのは、左翼思想に汚染されている証左である。もし逆に、保守派有識者の講演だったら、中学校どころか、たとえ大学での講演でも騒ぎ立てるのであろう。

(森田清策)