流行語大賞候補の「忖度」は朝日が首相を貶めるために作ったキーワード
◆左派紙が流行させる
今年の「流行語大賞」に30語がノミネートされているが、最有力候補は「忖度(そんたく)」のようだ(12月1日発表)。毎日によれば、「忖度」とは「首相官邸の意向を役人がおもんぱかったと指摘される森友、加計学園問題を象徴するキーワード」だという(10日付)。むろん流行(はや)らせたのはメディア、中でも朝日や毎日などの左派紙だ。ところが、その「忖度」の意味合いが変わってきた。
森友問題では、財務省は同学園が国有地で開校を計画していた小学校の設置趣意書の表題の一部以外を非開示とし、学校名を黒塗りにしてきた。これに対して朝日5月9日付は趣意書に「安倍晋三記念小学校」と書かれていたと報じ、野党は国会で校名を隠すために黒塗りにしたと追及した。
この趣意書を財務省は24日、学園の管財人から「開示しても支障がない」との意見書を受け開示した。黒塗りの学校名には首相名はなく、実際は「開成小学校」。朝日報道はウソだったわけだ。
◆虚偽報道に反省なし
ところが、朝日25日付は「校名などが当初、黒塗りになっていたため、朝日新聞は籠池氏への取材に基づいて、籠池氏が『安倍晋三記念小学校』の校名を記した趣意書を財務省近畿財務局に出したと明らかにした、と5月9日付朝刊で報じた」と、まるで他人事のように書き、虚偽報道への反省の弁が皆目ない。
前理事長の籠池泰典氏への「取材に基づいて」書いたのだから問題ないと開き直っているかのようだ。麻生太郎財務相が「自分に都合の悪いところを隠すんじゃない。だから報道はゆがんでいると言われるんだ」と強烈に皮肉ったのも頷(うなず)ける(産経25日付)。
報じた内容と事実が違っていたなら、きちんと検証するのがまともな新聞の態度だが、それが朝日にない。あくまで「籠池氏への取材に基づいて」と言うなら、どんな取材に基づいているのか、誰(記者)がいつ、どこで聞いたのかを明らかにすべきだ。それがないのは実に怪しい。
◆捏造記事の前歴多数
何せ朝日には前歴がある。2005年8月には長野総局の記者が田中康夫・長野県知事(当時)との迫真に満ちた一問一答をでっち上げた。古くは伊藤律の「架空会見記事」(1950年9月27日付)がある。レッドパージの共産党幹部、伊藤律と兵庫県の山中で会見したとし「不精ヒゲ、鋭い眼光」などとリアルなでっち上げをやってのけた。
最近では慰安婦問題がそうだ。元共産党員、吉田清治氏の「慰安婦狩り」捏造(ねつぞう)著作もさることながら、朝日が1990年代初頭に戦時勤労動員の「女子挺身隊」を日本政府による“慰安婦狩り”だと虚偽報道したことが発端だ(読売13年5月14日付)。
「吉田調書」の捏造もある。朝日14年5月20日付は、東京電力第一原発事故で現場指揮を執った吉田昌郎所長(当時)の政府事故調査・検証委員会の「調書」を入手したとし、「所長命令に違反 原発撤退/福島第一の所員9割」と大きく報じた。
だが、調書はまったく逆に「『全面撤退』明確に否定 命令違反の撤退なし」(産経14年8月18日付)だった。朝日の捏造記事は原発職員の名誉を著しく傷付けた。
加計問題では獣医学部新設を「総理の意向」「文科省に記録文書」と報じた朝日5月17日付が問題視されている。これには朝日は言論ではなく抗議や訴訟でしのぐつもりらしい。先の衆院文科委員会で朝日報道を「捏造」と述べた日本維新の会の足立康史衆院議員に対して発言撤回を求める申入書を送った。
また文芸評論家の小川栄太郎氏の「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)に対しても小川氏と出版元の飛鳥新社に謝罪や訂正を求める申入書を送り、2週間以内に書面による回答を求めた(いずれも朝日22日付)。これに対して小川氏は「朝日、常軌逸した恫喝 法的措置を検討」(産経26日付)と反論、訴訟合戦になる見通しだ。
というわけで、森友・加計問題の「忖度」は「朝日が安倍首相を貶(おとし)めるために作ったキーワード」とするのが正解だ。流行語大賞を受賞すれば、そう解説すべきだが、リベラルな選考委員は左派紙の意向をそれこそ忖度し、従来の意味でお茶を濁すのが落ちか。
(増 記代司)





