反日だけブレぬ朴槿恵韓国大統領に新潮、文春がカウンターパンチ
スキャンダルを攻撃
朴槿恵(パククネ)韓国大統領による日本攻撃が止まらない。先ごろ訪韓したバイデン米副大統領にも日本の「歴史認識で誠意のない態度」を“告げ口”していた。さすがにバイデン氏は反日のあまり中国に入れ込み過ぎている朴大統領に対して、「反対側にベッティング(肩入れ)するのは良くない」と釘を刺したが、この発言をめぐって、韓国外務省、米当局も“取り繕い”に追われるという後日談のオマケが付いた。
朴大統領の反日が止まらないなら、日本の週刊誌の反韓記事も勢いを増している。週刊新潮(12月19日号)と週刊文春(同)がまるで競うかのように揃って関連特集をトップにもってきている。
共通しているのが「スキャンダル攻撃」だ。妹の朴槿令(パククンリョン)氏、弟の朴志晩(パクジマン)氏がともに騒動の主。槿令氏は「詐欺罪」で有罪判決を受けており、志晩氏は「覚醒剤使用」でやはり有罪判決が下った。しかも志晩氏は同罪での摘発が5度目だというから驚きだ。
これだけ身内に醜聞があれば、辞任も口の端に上ってくるのが普通だが、さらに、週刊文春が「退陣要求デモ」を取り上げ、朴大統領の陥っている陥穽(かんせい)の深いことを伝えている。デモは大統領選時の「国家情報院の選挙介入」疑惑追及だ。騒ぎは収まるどころか、さらに勢いを増しているのだから手が付けられない。
これに対日、対米、対中外交の不調も手伝って朴槿恵大統領は任期1年目にして早くも「レームダック(死に体)」化しているとの指摘さえ出てきている。こういう時に切られる「反日カード」は普通、政権末期に繰り出されるものだが、朴大統領は最初からこの札に頼っている。有効な助言をする軍師はいないのだろうか。
独断や「遺産」に批判
週刊新潮は「大手紙のソウル特派員」の話として、朴大統領は「全て自分一人で決めてしまう。物事をはかるブレーンを持とうとしないのです。韓国の記者や政治評論家に訊いても、“彼女に影響を与える指南役が誰か分からない。側近や参謀も分からない。だから何を考えているのか、皆目分からない”と言います」と伝えている。
すでに、「行き過ぎた反日は韓国の利益にならない」という声は政界からもメディアからも上がっているが、それには一向に耳を貸さず、反日を貫く姿だけは全然ブレないのだ。
その一方で朴大統領が「お友達内閣」で気に入った人物だけを登用していることを週刊文春が指摘している。朴大統領は「この八月に七十四歳の老人金淇春(キムギチュン)氏を実質的なナンバー2の秘書室長に任命」した。金氏は「もともと父・朴正煕(パクチョンヒ)の子飼いで、言論弾圧や報道規制に辣腕(らつわん)をふるった人物」だという。
「国民大学校日本学研究所の玄大松氏」は「朴正煕時代の独裁統治を想起せざるを得ない」と憂慮を同誌に語った。
文春の記事で「朴正煕の遺産6億ウォンを野党追及で認めた」とあり、「現在の価値で三百億ウォン(約三十九億六千七百十二万円)に相当する大金」を全斗煥(チョンドゥファン)政府から手にしていたとある。これは、昨年の大統領選中にも朴攻撃の材料として使われてきた話だ。
筆者は昨年、朴陣営の参謀から直接、この件を聞いた。朴正煕大統領が暗殺され、本来引退していればもらえたであろう「退職金」「年金」が支払われなかった。それまで生活していた青瓦台(大統領府)を妹弟を抱えて出ざるを得なかった朴槿恵氏は路頭に迷う。全斗煥が「生活費として、相当する金額を出した」ということだった。
しかも朴槿恵氏は半額の「3億ウォン」を返還し、残りの金額を母・陸英修(ユギョンス)夫人が作っていた「育英財団」に入れて、姉弟が生きて行ったというのだ。この金については、もう少し取材した方がいいのではないか。韓国では立場で全く違う話をすることが多いのだから、せめて両方の意見を載せるべきだろう。
中国の付け入る隙も
文春が「安倍首相は中韓どっちと首脳会談すべきか?」というアンケートを取った。「約八割が中国と回答し、韓国を大きく上回った」とある。回答者は「中国と話をつければ韓国と話がついたも同然」という意見が多く、「慌てず、両国ともしばらくは放置しておくべき」という引いた見方も紹介されている。
基本的に同誌の読者なので、一定の傾向はあるものの、国民大多数の意見を反映しているものといえよう。だが、このアンケートは中国には付け入られる材料となり、韓国には僻(ひが)まれるデータとなる。やはり「しばらく放置」が一番いいのかもしれない。
(岩崎 哲)