騒ぎ過ぎの「森友学園」問題、「4月総選挙」説の扱い小さかった文春

◆重要法案審議できず

 13日付本欄で「『森友学園』騒動は安倍政権を揺るがす“大疑惑”に発展するのか―」と書き出し、「結局“大山鳴動してネズミ一匹”で終わるのだろう」と締めくくったが、事態は依然「大山鳴動中」だ。籠池泰典同学園理事長の退任、小学校建設申請の取り下げで収まるかと思われたものの、23日の国会証人喚問で籠池氏は“持論”を展開、安倍昭恵首相夫人や財務官僚らを巻き込んで、混乱に陥れている。

 この人は園児に「安倍首相がんばれ」と選手宣誓で言わせるほどの支援者のはずなのに、やっていることは、安倍首相と昭恵夫人を陥れ、安倍政権を窮地に追い込む材料を野党に与えるという正反対のことだ。

 週刊文春にコラムを連載している飯島勲内閣参与は、3月30日号で、「『森友問題』は騒ぎすぎだよ」と書いている。国会は「もうすぐ会期百五十日の折り返し点なのに、(政府が提出した63本の法案で)成立したのはたった一本だけよ」とし、今国会では「百二十年ぶりの民法大改正案とか、『脱時間給』の仕組みを創る労働基準法改正案なども重要なのに、一向に審議に入るめども立たない」と叱責しているが、その通りだ。

 安倍首相が森友学園にしたと籠池氏が主張し、昭恵夫人は心当たりがないとしている「100万円寄付」にしても、仮にこの寄付行為があったとして、そのどこが問題になるのか、追及する野党は論点が絞れておらず、週刊誌などメディア側もはっきりとはさせない。

◆昭恵氏の潔白明らか

 週刊新潮(3月20日号)が「『死なばモリトモ』爆弾」の記事で、「寄付話まで吹聴し始めたため、放ってはおけないと、安倍総理の鶴の一声で、偽証罪に問われることもある証人喚問に呼ぶことにした」と「政治部デスク」が語る。

 当初、自民党は「参考人招致」に反対していたが、より強い「証人喚問」に切り替えて、籠池氏を国会に呼ぶことにしたのは安倍首相側で「なにも疚(やま)しいことはないと自信を持っている」からだ。昭恵夫人は籠池氏の妻で塚本幼稚園副園長の諄子(じゅんこ)氏とのメールのやり取りまで明らかにしており、普通の国語力があれば、“潔白”は明らかである。

 飯島氏ではないが、国有地払い下げディスカウントの真相解明以外、それも「忖度(そんたく)」うんぬんではなく、テクニカルな面だけの追及以外で、これ以上国会の時間が浪費されることは避けるべきだろう。重要法案に取り掛かるべきだ。

 週刊文春(3月30日号)も籠池氏インタビューを載せていたが、国会でしゃべったことと同じ。事態の推移が早いため、記事の賞味期限もすぐに切れる。こういう時こそ、週刊誌は横から攻めるべきだろう。同誌に「電撃解散説」の記事があるが、もっと大きく扱ってもいい。「永田町で『四月総選挙』説が急浮上してきた」とし、狙いは「拡大の一途をたどる森友学園問題を消し去ること」だという。もっとも政権の意図に乗っかるのを避けての小さな扱いとしたのか。

◆解散説で野党牽制か

 国政選挙が「秋以降」とされていたのは連立相手の「公明党への配慮」だったが、「七月の都議選で、公明党は、小池百合子都知事率いる『都民ファーストの会』と政策協定を結んで、逆風の自民党とは距離を置いた」ため、安倍首相は「公明党への配慮はしない」と、早期解散に踏み切るという解説である。

 その前に予算案を仕上げておかなければならないが、与野党の国対委員長間で27日の参院予算委と本会議で採決することが合意されたから、この週のうちに解散すれば、「最短で四月三十日に投票日を設定できる」というわけ。

 「四月解散」説は3月16日号の週刊新潮でも報じられていた。「安倍官邸が政権に近いメディアである産経と読売に4月解散説をリークした。野党を浮足立たせ、選挙準備で森友学園追及に時間を割けないようにするのが目的ではないかとみられている」というのが「政治部デスク」の見立てである。

 予算成立後「春の嵐」は吹くのか、そして、日々変わる情勢を週刊誌はどう料理していくのか。腕の見せ所である。

(岩崎 哲)