刑法犯の大幅減に役立った防犯カメラ設置への反対煽った朝日、東京

◆「監視カメラ」と強調

 刑法犯は昨年、戦後初めて100万件を下回った(警察庁発表=各紙19日付夕刊)。2002年のピーク時には285万件に上り、「治安崩壊」とまで言われただけに大幅減は慶事である。官民挙げての取り組みの成果だろう。

 これだけ減らせた背景の一つに防犯カメラの普及が挙げられている。発表モノの報道の中で、朝日だけが防犯カメラについて書いている。それによると、防犯カメラなどの画像が容疑者を特定する主なきっかけとなったのは、1万2994件(5・9%)で、職務質問と参考人取り調べに次いで3番目に多い。

 とりわけ、ひったくりで顕著だという。ひったくりはピーク時の15分の1、3千余件まで封じ込められたから、防犯カメラは容疑者の割り出しだけでなく、犯罪抑止にも大いに役立っている。

 朝日は、警察が設置した防犯カメラは08年が363台だったが年々増え、昨年3月現在で26都道府県に1530台。店舗や駅、住宅など民間が設置しているカメラの台数は100万台単位に上るとしている。

 これこそ関係各位の努力の賜物(たまもの)だろう。治安崩壊から14年、防犯カメラの設置に苦労を強いられた商店街関係者らは数知れない。朝日や東京などの左傾紙が防犯カメラと書かず「監視カメラ」とし、ことさら「監視」を強調して「プライバシーの侵害」などと反対を煽(あお)ってきたからだ。

 それで設置に手間取り、少なからず犯罪を見逃した。だから、治安崩壊の“戦犯”の一員に朝日と東京を加えても何の異論も出ないだろう。

◆抑止の事実を顧みず

 例えば、犯罪がピークに達した02年8月、横浜市で義父母ら3人を殺した容疑者が富山市で逮捕されたが、その決め手となったのは高速道路に設置されていた「自動車ナンバー自動読み取りシステム」だった。

 これを東京は同年8月25日付社説に「監視される市民」と題して取り上げ、どこで市民が見張られているか分からない、このシステムが犯罪捜査以外に利用されない保証はないと書き、「住基ネットだけでなく新しい監視社会の足音が近づいている」と騒ぎ立てた。こんな具合に防犯カメラをまるで犯罪者扱いした。

 また、東京都が15年に通学路への防犯カメラの設置を促すため都内の全小学校区に補助金を出すことを決めたが、朝日は「カメラは脇役にすぎない。使い方を誤ればプライバシーを脅かす」(同4月25日付社説)と難癖をつけた。

 左翼系の弁護士会は「監視カメラで監視されているということ自体が、監視される人のプライバシー権を侵害する」と屁理屈を並べ立てたが、これに朝日も同調した。

 大阪・寝屋川市の中学1年男女生徒が殺害された事件(15年8月)では商店街の防犯カメラに2人の姿が映っており、それを手掛かりに犯人が逮捕された。だが、朝日は「(防犯カメラは)犯罪抑止の面では役割を果たせなかった」(同24日付社説)と否定した。

 だが、犯人は再犯を重ねており、未逮捕なら悲劇を繰り返した可能性が高かった。それが防犯カメラによって防げたのだから、抑止されたと考えてよい。この事実を朝日は顧みようとしない。

 東京も同事件では朝日同様、「残念ながら、防犯カメラが命を守ってくれるわけではない」とし、「防犯カメラがもたらすものは、安心感」で、それで不安を忘れさせ、「子どもたちの警戒心を薄れさせていないだろうか」と、まるで防犯カメラのせいで犯罪が起こったかのように書いた(同24日付社説)。

◆反対論に耳を貸すな

 こんな具合に防犯カメラを忌み嫌い、犯罪者の味方かと思わせたのが朝日と東京だ。前記の朝日の防犯カメラ記事には「編集委員・吉田伸八」との署名がある。防犯カメラに反対した後ろめたさからなのか、それとも揚げ足でも取りたかったのか、防犯カメラへの関心の強さが伺える。

 ともあれ、犯罪防止策では左翼紙の言い分に耳を貸さないことが最大の防止策だと言ってよい。テロ対策でも同じだろう。国際社会では当たり前の共謀罪について東京が早々と「内心の自由を脅かす」と批判している(14日付社説)。こういう反対論に屈さない。それが治安の肝要だ。

(増 記代司)