日曜朝から子供には見せられぬLGBT特集流す感性劣化のNHK
◆まるでキャンペーン
最近NHKで、いわゆる「LGBT」(性的少数者)や「同性婚」に関する番組や特集が頻繁に組まれている。BS1「世界のドキュメンタリー」(「『提案8号』への挑戦~アメリカ同性婚を巡る闘い~」=11日)、「サキどり」(「ひらけ未来 LGBT×経済」=15日)、「クローズアップ現代」(「“家族”と認めてほしい~同性パートナーシップ承認の波紋」)(18日)などだ。
このほか、18日放送の「おはよう日本」はLGBTへのアンケート調査結果の内容を中心に、約10分間にわたって特集した。東京都渋谷区で今月5日、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認めるパートナーシップ証明書の発行がスタートしたのを受けての一連の番組づくりなのだろうが、これだけ続くと、まるでLGBTキャンペーンである。
◆視聴者の迷惑考えず
Eテレ「ハートネットTV」の前身、「ハートをつなごう」が2008年からLGBT特集を放送してきたNHKとしては、パートナーシップ証明書発行を契機に、LGBTへの肩入れをさらに強化しようというのかもしれない。しかし、視聴者の迷惑を考えなかったり、信頼性に疑問のあるデータを持ち出して印象操作を行ったりするのは低劣である。
例えば、「サキどり」は日曜日の朝8時25分から30分あまりの情報番組。この時間帯に、テレビ画面に同性愛や女装家らを映し出すことが家庭の迷惑になることは常識人なら理解できようというもの。ましてや公共放送に携わるプロならなおさらだ。
小学生の子供を持つ、知り合いの母親が筆者にこう嘆いた。「たまたまテレビをつけていたら、放送していたのはLGBTでしょう。子供にどう説明していいか、困ってしまったわ」
この番組では「(LGBTは)既存の価値観にとらわれず、新たな流行を生み出す仕掛け人としても注目されます」と持ち上げながら、ゲイのデザイナーの仕事ぶりを取材。その中で、男性用の派手な下着が画面いっぱいに映し出されたが、「朝からあんなもの見たくない」と拒否感を覚えた視聴者は少なくなかったはず。
ましてや、男性二人をダブルベッドの部屋に泊めてくれるホテルが紹介されるに至っては、親は子供に説明のしようがない。さらには、「日本最大のLGBTタウン、新宿2丁目!」のナレーションとともに、カメラはゲイバー街に入っていく。
そこで働く女性(?)に取材を試みると、「ラーメン屋さんでレディースデーってあるじゃないですか。私、オカマデーがほしいなとずっと思っています」だと。先の母親は「朝からあんな番組ではね。NHKは最近ちょっとおかしいじゃない」と憤慨することしきりだった。
ゲスト出演した女装家のブルボンヌは「朝のNHK番組に、こうして色味の強い私が出させていただけるようになったこと自体が一つの変化だと思う」と、NHKの変化を称賛していたが、子供のいる家庭の迷惑をよそに、朝からLGBT特集を組む番組制作者の感性劣化は深刻である。
◆信頼性に欠くデータ
首をかしげたのはこればかりではない。アナウンサーの片山千恵子が「LGBTの方の人口は、全体の7・6%なんですね。13人に1人がLGBTであるということなんですね」と説明すると、ナビゲーター役を務めるジョン・カビラは「この比率ですと、クラスに2人、もしくは3人いることになる。そうすると、かなり身近な存在ということになる」と解説した。ここで出てきた「7・6%」という数字は「クローズアップ現代」でも使われた。
だが、その信頼性には疑問がある。なぜなら、この数字は、電通ダイバーシティ・ラボが今年行ったネット調査で出てきたものだが、2012年の調査では5・2%だった。これほど揺れの大きい調査結果を「信頼せよ」と言われても無理な話。それでも、NHKをはじめとしたメディアは「LGBTは多く身近な存在」というイメージを打ち出すために頻繁に使っている。自分たちのキャンペーンに好都合だからと言って、信頼性に欠ける数字に飛びつくとは、NHKスタッフの劣化はかなり深刻だ。(敬称略)
(森田清策)





