「吉田証言」に「吉田調書」と虚報に虚報の上塗りを続ける朝日「報道」

週刊誌の広告を拒否

 虚偽・捏造(ねつぞう)を繰り返した朝日の慰安婦報道の波紋はまだ、収まっていない。週刊誌は「『朝日新聞社』の辞書に『反省』『謝罪』の言葉はない!」(週刊新潮9月4日号)、「朝日新聞『売国のDNA』」(週刊文春・同)と慰安婦問題をメーンに据えた。これに対して朝日は2誌の広告掲載を拒否する挙に出た(8月28日付)。いずれも毎木曜日付に掲載されているものだ。

 それもそのはず、と言うべきか、朝日は同日付に慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言を取り消した続報を載せ、「慰安婦問題 核心は変わらず 河野談話、吉田証言に依拠せず」と、相変わらず「反省」も「謝罪」もせず、自己正当化に終始していたからだ。

 同じ紙面に週刊誌広告の特大見出しが躍れば、朝日にとって実に不都合だ。で、消し去った? 言論弾圧まがいの「検閲」だ。むろん商業紙だから勝手ではあるが、新聞に載る週刊誌広告の“見出し読み”を楽しみにしている朝日読者にとっては迷惑千万だったに違いない。

 朝日は不掲載の理由を29日付のベタ記事でわずかに伝え、「朝日新聞社の名誉と信用を著しく傷つける内容があったとして、……(両誌の編集人らに)それぞれ抗議するとともに、訂正と謝罪を求めた」としている。

 いったい両誌のどの記述が名誉と信用を著しく傷つけたのか、具体的な記述はない。これでは訂正しようにもしようがあるまい。訂正と謝罪を求めるなら、その箇所をきちんと示すべきで、そうしないのは抗議した事実を残そうとするプロパガンダにすぎない。

 すかさず読売は28日付夕刊で朝日続報を取り上げ「識者から批判の声」と疑問を呈した。読売は同日付から「検証 朝日『慰安婦』報道」のシリーズを組み、1面に「虚構の『強制連行』拡散」、中面に「吉田証言への疑問 放置」と続け、「朝日は報道の結果責任について検証することなく、沈黙を続けている」と批判していた。朝日の無責任な続報に業を煮やした格好だ(31日付まで4回連載)。

 さらに読売は翌29日付でも特集を組み「批判回避へ 論点すり替え」と追撃。産経も同日付で、朝日が平成6年1月26日付の創刊115周年特集記事で「政治動かした調査報道」と題し、「慰安婦証言」の詳報を通じて河野談話につながる一連の政治の動きに自社が大きく関与してきたことを誇らしげに宣言していると指摘、「また問題すり替え」と居直りを批判した。

調書に命令違反なし

 もうひとつ、朝日の虚報に「吉田調書」がある。こっちの「吉田」は、東京電力第一原発事故で現場指揮を執った吉田昌郎所長(当時、2013年死去)のことで、朝日は今年5月20日付1面トップで、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「吉田調書」を入手したとし、「所長命令に違反 原発撤退/福島第一の所員9割」と大きく報じた。

 同事故では約50人が現場に踏みとどまり、海外から「フクシマ50」と称賛されていたが、海外メディアは朝日報道に食いつき「日本版セウォル号」(船長らが乗客を放置して逃げた)などと揶揄(やゆ)した。

 これには報道当初から虚報との批判が巻き起こり、吉田調書の開示が求められていた。産経は8月18日付1面トップで調書を入手したとし、「『全面撤退』明確に否定 命令違反の撤退なし」と、朝日報道を真っ向から否定。27日付まで10回にわたって「抄録 吉田調書」を連載し、朝日の虚報を覆した。

 これに読売が続いた。30日付1面トップで、全容が明らかになったとする吉田調書をもとに、「『全面撤退』強く否定」と報じ、中面では2ページ見開きで調書の要旨を特集、社会面では「命懸けて作業した」「逃亡報道 悔しい」との原発職員の話を伝えた。31日付では「『所員撤退』世界に誤解 朝日報道 『お門違い』憤る声」と、朝日虚報に焦点を絞って批判。産経の二番煎じと思わせない取材力を見せた。

朝日の「報道」は有害

 こうしてみると、朝日の慰安婦報道と吉田調書報道は「1億人が報道被害者になった大誤報」(週刊新潮)だったことは明白で、これまでの数々の「反日」報道をかえりみれば、「売国のDNA」(週刊文春)は疑いようもない。さて、朝日はどう答えるか。

(増 記代司)