産経・大森氏に「組織の病理」と指摘された誤報虚報を繰り返す朝日

◆「慰安婦」虚報で波紋

 慰安婦問題をめぐる朝日の虚報は波紋を広げている。記事の誤りを認め、掲載から32年後に一部を撤回したが、謝罪せず、責任を取ろうともしない。それどころか、他紙も同じような記事を書いていたと責任転嫁し(他紙はとうの昔に正している)、「いわれなき批判」(杉浦信之・編集担当)と開き直っているからだ(5日付)。朝日批判は一層、強まりそうだ。

 大森義夫・元内閣情報調査室長(元警視庁公安部長)は朝日の7日付社説が「警察の不正 組織の病理にメスを」と論じたのに対して「政権や警察を鋭く批判するのは正当な役割」としながらも、朝日は昭和25年、当時潜行中の共産党幹部、伊藤律氏との“会見記”を捏造(ねつぞう)したのをはじめ虚報が多すぎるとし、「組織の病理にメスを」入れるべきは朝日自身なのではないかと反論している(産経17日付「新聞に喝!」)。

 朝日社説は大阪府警が犯罪件数を過少報告したのを「前代未聞のごまかしだ。責任は極めて重い」とし、「問題が起きるたび、関係者を処分し、『指導を徹底する』と繰り返すのが警察の常だ。だが、そういう懲罰型の対応だけでは、組織自体に起因する問題の根絶は不可能」とし、外部識者の意見を聞けと論じていた。

 ならば朝日の「前代未聞のごまかし」はどうなのか、と警察OBの大森氏は言いたかったのだろう。懲罰型もなければ、外部識者の意見も聞かない。何よりも「多年にわたる朝日の誤報が傷つけたのは新聞への信頼、日本の国際的な信用だけでなく、青少年の日本国民としての誇りである」と述べている。

◆昔から続く捏造体質

 その「多年」の誤報に昭和25年の伊藤律架空会見記がある。朝日神戸支局の記者がレッドパージで地下潜行中だった共産党幹部、伊藤律氏と兵庫県宝塚市の山中で会見したとし「不精ヒゲ、鋭い眼鏡」と、リアルにでっち上げた(同9月27日付)。

 虚報を見抜いたのは治安当局で、記者が自白し神戸支局長は依願退職、大阪本社編集局長は解任された。朝日社内で自浄作用は働いておらず、当局の追及がなければ騙(だま)し続けたかもしれない。

 もうひとつ「多年」の誤報に平成元年の「K・Y事件」と呼ばれるサンゴ捏造記事がある(同4月20日付夕刊)。地球環境の保護を訴える企画記事で、沖縄県西表島の世界最大級のサンゴに「K・Y」との落書きがあると写真入りで報じ、「サンゴ汚したK・Yってだれだ」と日本人のモラル低下を嘆いてみせた。

 ところが、これは東京本社の写真部員が自らサンゴに傷つけたものだった。暴いたのは地元のダイバーたちだ。当初、朝日は撮影効果をあげるため、すでにあった傷をストロボでこすったと弁明し、行き過ぎた報道を詫びた(同5月16日付)。

 だが、これも嘘(うそ)で、ダイバーらに「そんな傷もなかった」とさらに追及され、写真部員が白状した。ここでも自浄作用は働いていない。東京本社編集局長らは更迭され、当時の一柳東一郎社長も引責辞任した。自ら進んで環境破壊した朝日はいま、辺野古の環境を守れと叫んでいるが、そういう資格があるのか、かねてから疑われている。

◆朝日は国の為ならず

 今回の朝日の慰安婦特集(5日付)では、2005年1月12日付のNHK「慰安婦」番組改変報道については触れていない。これも虚報だ。「極左記者」と呼ばれた本田雅和氏の記事で、安倍晋三氏らがNHKに圧力を掛けて番組を改変させたと強弁した。

 これには批判が噴出し、朝日は第三者機関(形だけだが)を設け「(記者が)真実と信じた相当の理由はあるにせよ、取材が十分であったとは言えない」との玉虫色の見解を出し、謝罪も訂正もしなかった。どうやらこれに味を占めたのか、今回も謝罪なしだ。

 さらに北朝鮮を楽園と報じ、あるいは中国共産党に媚(こび)を売り、反安保闘争に肩入れした。そして今は集団的自衛権をめぐる虚報の数々だ。故・会田雄次氏(京都大学名誉教授)の次の言が思い出される。

 「朝日新聞がつぶれたら日本は復興する。私は常々、そう言っているのです」(加瀬英明著『日本の良識をダメにした朝日新聞』)

 自浄作用の働かない朝日にはこう言うほかない。

(増 記代司)