なぜ日本だけ新型コロナが収束傾向なのか、その謎に迫った新潮

厚労省、モデルナ製ワクチンに異物の混入を確認

米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン=6月14日、東京都大田区

ウイルス側に原因か
 諸外国から“インチキ”の疑いが掛けられている最近の日本の新型コロナウイルス感染者数。どうしてこれほど減ったのか、日本人自身が分からず、医師など専門家の説明も要領を得ない。だが、確実に感染者数は減り、重症患者や死亡者も減っているのだから、これは現実である。

 週刊新潮(12月2日付)がこの謎に迫った。「なぜ日本だけ収束!?『消えたコロナ』の謎に答える」の記事だ。感染者数が減った理由として、「人流が抑えられている」「ワクチン接種が進んだ」などが言われている。だが、これは「多くの人の実感と、あまりに乖離した見方ではないだろうか」と同誌は言う。誰もが感じていることだ。

 ワクチン接種率が同じようなお隣韓国では、かつてない感染者数の増加で、当局も頭を痛めている。「日本政府発表の数字は信じられない」と悪態をつきたくもなるだろう。また人流抑制といっても、第5波のピークだった夏の五輪の時と変わらないどころか、むしろ人出は増えている。すると、原因は他にあるとしなければ説明がつかない。

 東京大学名誉教授の唐木英明氏は、「ウイルスの側に原因があると考えるのが、普通ではないでしょうか」と同誌に語る。コロナの増減には周期がある。だいたい4カ月周期だという。日本は今その底に当たっているという解釈だ。

 すると次の山、すなわち第6波が来ることになる。その山場は「12月中」とも「1月14日ごろ」とも言われており、人工知能(AI)に予測させたところ、「東京都の1日当たりの新規感染者数は、370人程度」になるそうだ。5000人を超えていた第5波よりもはるかに小さい。

 そうだとしても、現在、欧州では1日数万人の感染者が出て、オーストリアなど外出禁止(ロックダウン)まで行う所があるのに比べれば、全国200人程度で済んでいる日本の現状は「謎」だ。

抵抗力備えた日本人

 同誌は東京医科歯科大学臨床教授の大和田潔医師に聞いた。「われわれが新型コロナに対する、なんらかの抵抗力を持っていたからだと考えています」という。大和田氏は、「大昔に日本列島にやってきて、ある程度無害化して定着した」季節性コロナウイルスが幾つかあり、新型コロナは「冬風邪化して定着するか、滅んで定着しないか、どちらかの道を辿ると予想」した。

 「民族として何度かのコロナ禍を乗り越えた結果、抵抗力が強い人が多い可能性があること。子供のころから、既存の季節性コロナウイルスにかかって免疫力があった」と説明する。日本人には抵抗力、免疫力があるということだ。

 その一方で、コロナ死滅説を唱えるのが国立遺伝学研究所の井ノ上逸朗教授だ。「ウイルス自身のコピーエラー」によって死滅、あるいは感染性が低下したというのである。猛威を振るったコロナウイルスが無害化に向かっているというのなら朗報である。

 同誌は9月9日号で既に「11月ごろに新型コロナは“ただの風邪”に近くなるのではないか」という浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師のコメントを載せていた。一連のコロナ報道で、楽観的というのではなく、希望的な観点で一貫するのは同誌のいいところである。

新変異株は海外から

 さて、夏の大流行をもたらしたデルタ株が“消えた”とすると、問題は「次の株」である。前出の唐木氏は、「新しい株は、基本的には海外から流入します」として、「持ち込まれた場合、いまの日本には第6波が起きる素地があります」と警告する。

 万が一、新たな変異株が流入しても、マスクの着用を続けていけば、「それほど拡大しないと思います」とはAI予測をした名古屋工業大学の平田晃正教授の言葉だ。

 同誌は、3回目接種とマスクで「第6波は小さく収まる」というのが「識者たちの共通した見解」という。早くマスクが取れる日が来ることを祈ろう。
(岩崎 哲)