内閣府職員死亡の謎解きも謎に終わる新潮、文春のスパイ説、失恋説
◆韓国絡みの情報不足
韓国に行っていたはずの内閣府のキャリア職員が北九州沖で遺体となって発見された。1月18日の発覚から3週間がたっているにもかかわらず、真相は明らかにされていない。週刊誌の格好の題材となりそうなものだが、どうも、各誌とも扱いが地味だ。
「推理小説顔負けのミステリアスな展開をみせている」と週刊文春(2月13日号)はいうが、現実は小説やドラマのように都合よく謎解きもされず、このまま「迷宮入り」扱いになりそうである。
米国に留学していた職員がセミナー参加のために韓国入りしたが、偽名で別のホテルを取ったり、ゴムボートなどを購入したり、と不可解な行動をとる。その後、釜山に現れてから北九州で遺体が発見されるまでの足取りも分かっていない。そもそも、なぜエリート官僚が“密航”で日本に戻ろうとしたのか、その理由も不明で、まったくもって謎だらけの事件である。
こう謎が多いと、つい「スパイ絡み」を想像してしまう。週刊新潮(2月13日号)はその見方を匂わせている。遺体が発見される前、東京都内に韓国の国家情報院(国情院)職員数人が警視庁公安部職員の追跡を受けていた、と同誌は書き始める。
公安が彼らの会話を傍受していると、「死んでいる」という言葉が聞こえてきた、という。件(くだん)の内閣府職員のことだ。しかし、この時は遺体が発見される2日前。なぜ国情院は職員の死を知っていたのか。
同誌は「韓国スパイとして消された!?」との見出しを付けてはいるものの、思わせぶりな国情院の情報収集話だけで、記事には内閣府職員が「韓国スパイ」だとは一言も言及していない。つまりそれだけ情報がないのである。
◆竜頭蛇尾に終わるか
一方、週刊文春は「スパイ」の他に「韓国人女性失恋説」も紹介している。「外務省筋からは、(留学先の)ミネソタで知り合った韓国人女性を追ってソウルから釜山に行き、失恋に絡む女性トラブルがあったのではないかとの話も出ている」と「内閣府関係者」は同誌に語っている。
だが、どうして「失恋」した職員がゴムボートで日本に密航しようとするだろうか、その点が不明のまま残る。そうまでして、日本に来なければならない事情があったのだろうか。
これについて、6日の時点で、「私的用事で帰国せねばならない事情があったようだ」との見方が流され始めた。日本テレビは、「職員は『公用旅券』で留学しており、帰国するには本省の許可が必要だった。このため、出入国審査でチェックされないよう、ボートを使って日本に戻ろうとした可能性がある」と報じた。私的用事については、「公にできないプライベートな理由」とだけあり、詳しいことは述べられていない。公務員の規定を破って、法律を犯してまで帰国せねばならない「プライベートな理由」とは?
「釜山で韓国人女性と失恋」と「私的用事で帰国」の因果関係はどうなのか。どうも“真相”が隠されたまま、幕引きが行われようとしている気配を感じる。
当初は「謀略」「スパイ」などが取り沙汰され、日韓間のごたごたに巻き込まれたかのような印象が持たれたものの、よくよく調べてみれば、「プライベートな理由」それも、「女性絡み」だったことで、“真相”は暴かず、蓋をして事件を終わりにする、というシナリオさえ見えてくる。そうであれば各誌の歯切れの悪さも納得だ。
◆日本貶め放置するな
週刊新潮が「朴槿恵(パククネ)態度軟化の条件は5項目」の記事で、「『コリア・レポート』の辺真一(ピョンジンイル)編集長」がその五つを挙げている。①「竹島の日」を政府行事に格上げしない②村山談話の踏襲③河野談話を撤回しない④竹島問題を国際司法裁判所に提訴しない⑤安倍首相が在任中、靖国神社に参拝しない――である。
辺氏は「『十分クリアできる』と予想している」が、同誌は「靖国問題一つとっても、あの安倍総理がそう簡単に参拝しないと約束するとは思えない」と懐疑的だ。
そして、「韓国のふざけた要求に中途半端に応じるより、しばらく距離を置いた方が賢明かもしれない」と記事を結んでいる。それも一つの方法だろうが、その間に、フランスまんが祭での「慰安婦アニメ上映」「慰安婦まんが展示」、さらに米国の各州で「東海併記」決議推進運動など、韓国の「ディスカウントジャパン」(日本貶(おとし)め)が進んでいる。距離を置くだけではどんどん付け入られる現実にも対処しなければならないのだが。
(岩崎 哲)