北朝鮮の傀儡団体主催の追悼式を「絶対善」とし右派を批判する朝・毎

◆毎日が特大記事掲載

 毎日4日付夕刊に関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式を扱った特大記事が載った。1面は「『朝鮮人虐殺』否定 今なぜ/慰霊祭近くで集会」の見出しで追悼式に反対する右派団体の集会ルポ、社会面は「否定派の集会/確定しない犠牲者数」の解説風記事。筆者は末尾に「吉井理記」とある。

 記事はこう書き出す。「イヤな取材を思い立った。関東大震災(1923年)から97年になる9月1日。東京都内の公園で、大震災のさなかに軍や日本人の群衆に多数殺害された朝鮮人を追悼する慰霊祭が例年通り開かれたが、近年はその横で『大虐殺はなかった』などと主張する集団が集会を開いている、と聞いたのだ。残暑のせいばかりではない、ゲンナリする現場を見に行った」

 のっけから「イヤ」「ゲンナリ」と言うから、思わず「ご苦労さま」と紙面に声を掛けたくなった。もちろん吉井氏がイヤなのは右派集会で、昨年は発言が「ヘイトスピーチ」とされ、追悼式側と小競り合いがあった。今年は機動隊が出て、騒動はなかったようだ。

 それでか、吉井氏は「大虐殺がなかった」の検証に力点を置き、▽内閣府中央防災会議の2008年推計「1000~数千人」▽震災当時の司法省「233人」(犯罪行為による殺傷者)▽朝鮮独立派の「独立新聞」の「6661人」を挙げ、これも「確証はない」としている。

 従来の数字である、朝鮮総督府が把握した震災による朝鮮人の死者・行方不明者832人という数字もある。当時、神奈川県鶴見警察署の大川常吉署長が約300人の朝鮮・中国人を体を張って守り、海軍が引き受け保護した逸話があるほどだから虐殺は相当数あった。右派団体も「虐殺がなかった」とは言っていない。「大虐殺はなかった」と主張している。

◆「誓約書」要求を非難

 せっかくのルポ記事なのに吉井氏は肝心の朝鮮人犠牲者追悼式には触れていない。朝日2日付には「厳戒の中 悼む/関東大震災の朝鮮人虐殺追悼式 同時開催の集会巡り抗議も」との記事があるが、こちらも追悼よりも小池百合子都知事が4年連続で追悼文を送らなかったことと右派集会の方に関心を向けている。

 朝日は7月25日付に早々と「虐殺の史実 都は改ざんに手貸すな」との社説を掲げ、都が追悼式主催団体に問題を起こさないとする「誓約書」の提出を求めたことを怒り、「こうしたおかしな行いが自由な社会を窒息させ、都政に対する不信を膨らませると、小池百合子知事は気づくべきだ」と、こぶしを挙げ、知事の追悼文見送りにも激怒している。

 それにしても毎日も朝日も追悼式を「絶対善」扱いするのは解せない。追悼式の中身はどうだったのか、共産党機関紙「しんぶん赤旗」(2日付・電子版)によると、こうだ。

 「都は今年、式典会場の横網公園を使用する際、誓約書を同実行委員会に提出させようとしました。朝鮮総連東京都本部の梁春植(リャン・チュンシツ)副委員長は都の暴挙が『抗議により撤回された』と紹介しました。日本共産党の原田あきら都議、日本平和委員会の千坂純事務局長も追悼の辞…小池晃書記局長・参院議員と山添拓参院議員はオンライン配信に動画メッセージを寄せました」

◆朝鮮総連と朝日共闘

 何と、北朝鮮の在日機関・朝鮮総連の幹部が誓約書提出を撤回させたと勝ち誇っている。朝日は朝鮮総連と共闘していたわけだ。おまけに共産党議員オンパレード。小池氏以前の歴代知事の追悼文送付の方が都政に対する不信を膨らませると言うべきだ。

 公園にある追悼碑は1973年、美濃部亮吉革新都知事の後ろ盾で建立された。美濃部氏は68年、朝鮮大学校を認可し、それを手土産に71年に訪朝、金日成主席と会見し北朝鮮を絶賛し日朝友好を誓った。その証が追悼碑で、式典の主催団体は北の傀儡(かいらい)の日朝協会だ。

 拉致被害者を帰還させず、核ミサイル開発にうつつを抜かす北朝鮮。それを尻目に追悼式を喜々として報じる朝日は、なるほど朝日新聞だ。毎日の吉井さん、来年はゲンナリしないできちんと取材してください。

(増 記代司)