安倍政権の路線を全て否定し読者に騙し絵の罠を仕掛け続けた朝日
◆連日社説で悪口雑言
「ルビンの壺(つぼ)」という絵がある。黒地の画面に白地で大型の壺(盃(さかずき))が描かれているが、黒地を図柄で見れば、壺ではなく向き合った2人の顔に見える。「若い女性と老婆」という絵は、若い女性の横顔が老婆の横顔にも見える。いわゆる隠し絵(騙(だま)し絵)だ。見方を切り替えないと、いくら眺めても片方しか見えない。その罠(わな)に嵌(はま)ると、なかなか脱せない(ご存じでない方はネットで「ルビンの壺」を検索し、試してみてください)。
朝日は安倍政権下でそんな罠を仕掛け続けた。安倍首相の辞任表明を受けた8月29日付社説は「首相在任7年8カ月、『安倍1強』と言われた長期政権の突然の幕切れである。この間、深く傷つけられた日本の民主主義を立て直す一歩としなければならない」と切り出し、安倍路線を全て否定して見せた。
その後も「アベノミクス 『道半ば』で行き詰まり」(30日付)、「安倍改憲 首相が自ら招いた頓挫」(9月1日付)、「安倍外交 『価値』を実践したのか」(3日付)、「森友・加計・桜 説明なき退陣ありえぬ」(4日付)、「政権と教育 熟議と専門知の復権を」(5日付)と言いたい放題、まさに悪罵を浴びせる体である。
深く傷つけられた日本の民主主義? 意味不明だ。この間、安倍首相は政権奪還の2012年総選挙を含め、信を問うた6回の国政選挙のいずれにも勝利した。朝日は「深く傷ついた」かもしれないが、「日本の民主主義」は何一つ傷ついていない。
◆憲法行為までも否定
朝日はこうも言った、「巨大与党の『数の力』を頼んで、集団的自衛権行使に一部道を開く安全保障法制や特定秘密保護法、『共謀罪』法など、世論の賛否が割れた法律を強引に成立させた」(29日付)。
これらはいずれも海外で高く評価されている施策だが、それを「巨大与党の『数の力』を頼んで」と悪人の仕業のように論じた。「数」は法律案の議決を定めた憲法59条に従ったものだ。朝日は護憲と言いつつ、憲法行為まで否定して反安倍を唱えている。
特定秘密保護法はどうだったか。同法が国会に提出されると、朝日は大反対キャンペーンを張った。13年10月26日付朝刊は1面トップ、2面ではほぼ全面で「秘密保護 懸念と疑念」、社会面では「あれもこれも秘密?」「居酒屋の会話で逮捕?」と批判のオンパレード。社説は「この法案に反対する」と拳を挙げた。
だが、同法が施行されて6年近く経(た)つが、「居酒屋の会話で逮捕」といった話は全く聞かない。「あれもこれも秘密」ではなく、安全保障に関わる「特定秘密」に限定されているからだ。もとより朝日は知っているはずだが、それでも煽(あお)るのだから質(たち)が悪い。
安全保障関連法は「あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」(安倍首相)という普通の国なら当たり前の話だが、朝日は「戦争法」のレッテルを貼った。安倍内閣が15年5月に同法案の国会上程を目指すと、朝日は12日付1面トップに「『専守防衛』変質」の見出しを躍らせ、社説では「憲法が定める平和主義を踏み外すもの」とし、15日付では「この一線を越えさせるな」「危険を背負うのは現場の自衛隊員」と、自衛官の味方づらまでした。長年、朝日から非人間扱いされてきた自衛官にとっては片腹が痛かったことだろう。
国会での審議時間は衆参両院で計220時間2分。安保関連法で最長の国連平和維持活動(PKO)協力法の193時間16分を超えたが、それでも朝日は「数の力」で同法を成立させたと言い募った。「テロ等準備罪」に対しては「治安維持法」のレッテルを貼った。
◆視点変え違う風景に
さらに…、と書こうと思ったら紙幅が尽きた。一事が万事、朝日の反安倍記事はこの調子だった。これぞ騙し絵である。朝日の読者諸兄、視点を変えれば、違った風景が見えてくるはずだ。と言っても見えた人はとっくに購読をやめているか。
(増 記代司)