全国緊急事態宣言で「テレワーク待ったなし」を特集したアエラ
◆出勤との併用が有益
新型コロナウイルス感染者数の増大に伴い、緊急事態宣言が全国に拡大された。否応なく、誰もが不要不急の外出を控え、時差通勤を心掛け、テレワークすることが求められるようになった。
対面文化の日本には馴染(なじ)まないと言われているテレワークだが、もはや使いこなすしかない。アエラ(4月20日号)が「テレワーク待ったなし」の記事を載せた。
その前にテレワークとか、リモートワーク、在宅勤務とさまざまに言われるが、どう違うのかを確認しておこう。前者二つは会社以外の場でネットや電話等を使って仕事をこなすことであり、在宅勤務は文字通り、自宅(それに準じる所)で業務を行うことだ。いずれも会社でない場所での仕事となる。
テレワークのメリットとして、「通勤時間がなくなった」「働き方改革が進んだ」などを挙げ、デメリットは「運動不足」だという。誰でも見当のつく話だ。読者が知りたいのは、これで実際に業務が行えるのか、意思疎通や人間関係、チームワークづくりが図れるのかという点だ。
今年のアース製薬の新入社員は「オンライン入社式や研修のため一度も同期や先輩の顔を見ていないという人もいる」と同誌は伝える。そのため、「先輩社員がパソコン越しに話しかけ」、新入社員は「iPadを通じて研修に参加」するのだという。
文字でやりとりするチャットや、映像で会話ができるスカイプなど、プライベートではデジタルを使いこなしてきた若者でも、仕事でかしこまったコミュニケーションを取るのには慣れていない。そもそもネットを通した交流に不慣れであったり、抵抗のある人も中にはいる。こうした課題について同誌は詳しく触れていないが、それこそ、この特集に必要な記事の一つではないか。
結局、全てをオンラインで行うことはできないので、「パソナグループでは、在宅勤務の対応が難しい従業員に全国のオフィスを開放し、子連れ出勤や、オフィス内の託児スペースに子どもを預けながら仕事ができる体制を構築した」というケースもある。
業種や業務内容、環境などに即して、出勤しての業務とテレワークや在宅勤務が併用されることが今のところベターな方法だということだ。
◆人気高い「スラック」
同誌は特集の中でテレワークに必要なサービスやツールも紹介している。「Slack・Zoom・Dropboxは三種の神器」の記事だ。この中の一つでも知っている、使っているという人はやや時代の先端を行っている、かもしれない。
まずSlack(スラック)は「ビジネス用のコミュニケーションツールとして、いま世界中で人気が高まっている」。PTAや保護者会、ママ友など“これがなければ仲間外れ”ぐらいに普及している「LINEをイメージすると分かりやすい」と同誌は紹介する。
ただ大きく違うのは、LINEはグループであれ、一対一であれ、会話は話の筋に関係なく投下された順に表示されていくが、スラックは話題ごとにチャンネル(部屋)が設けられ、混同しない。何よりもストレスの原因となっている「既読」機能がないし、投稿した文章を編集することもできる。ビジネス向きなのだ。
Zoomは「オンラインでのテレビ会議」サービスである。簡単にウェブ会議ができるので急速に普及しているが、突然関係ない画面や文字が流れたりする「Zoom爆撃」という妨害が多いのと、この簡便さを覚えた上司が頻繁に会議を開きたがるのが欠点といえば欠点。「正装して出る」などエチケットも必要となってくる。
◆時宜を得た特集記事
Dropboxは「データの保管や共有をすることができる」クラウドサービス。いちいちメールに添付してファイルを送る必要もなく、また送れない大き過ぎるファイルも交換できる。
この「三種の神器」だけでテレワークが分かり、実行できるわけではないが、その入り口に立たせるぐらいには、時宜を得た特集と言えるだろう。(岩崎 哲)