小池都知事は新型コロナを再選に利用していると指摘する新潮・文春
◆都市封鎖言及で注目
今回もまた新型コロナウイルスの話題が続く。今や、2週間前の“花見の緩み”から感染者数が爆発的に増えるかどうか、また、その結果を受けて、緊急事態が宣言されるかどうかが焦点となっている。
日本医師会は宣言を出すべきだと政府に迫るが、「今はその段階ではない」と安倍政権は慎重な態度を崩さない。しかし、仮に緊急事態宣言が出されたらロックダウン(都市封鎖)は断行されるのか、外出禁止や在宅ワークが増えるのか…、庶民としては、何もはっきり決まらない状態で、じわじわと迫る“何ものか”に身構える、もやっとした心理状態に置かれている。今こそ週刊誌の出番だ。
まず、緊急事態宣言は出されるのかだが、その前に、さまざまな思惑が渦巻いているという。週刊新潮(4月9日号)が「『コロナ戦線』異状あり」の特集で、小池百合子東京都知事の「パフォーマンスに、惑わされてはいけない」と警告する。
東京五輪の延期が決定的になったタイミングで、「ロックダウンに言及するという姿勢は、到底、都民本位ではありません」と「都政担当記者」は同誌に憤る。「五輪への影響を恐れて、強い措置に踏み切れなかった都知事が、いま積極策に出ているのは、7月の知事選に向けてのパフォーマンスの面がある」というのである。
確かに、ロックダウンを言い出してメディアの注目を一気に引き付けた“手腕”はさすがと言わざるを得ない。再選は政治家の最大関心事だから、小池氏にその思惑があるのは当然だろう。この未曽有の危機克服に専念するのなら、注目されても当然だが、それをちゃっかり、というか、しっかり自分の再選に“利用”するのだとすれば、都民の受け取り方は違ってくる。週刊誌ならば当然突っ込むところだ。
◆防護服提供は取引か
週刊文春(4月9日号)はもっと露骨に書いている。同誌も新潮と同じように「小池氏の念頭にあるのは、今年七月に控える都知事選です」と言い切る。しかも「前回獲得した二百九十万票から絶対に減らしたくない。そのため、敵対する都議会自民党には候補者を立ててほしくなかった」と小池氏の心の内を「小池氏周辺」は伝える。
これには「安倍首相の懸案だった五輪延期での協力を約束した。その見返りが、都議会自民党が矛を収めることでした」という“裏事情”があったというのだ。ある意味、知事選勝利を固めた上で、コロナ対策に腰を据えて取り組む体制を取ったのだとすれば、大したものだ。しかし、もう一つの小池氏のパフォーマンスを見ると、やはりこの人の頭の中には「再選」の二文字が真っ先にあるのだと思わざるを得ない。
二階俊博自民党幹事長が防護服30万着を中国のアリババに寄付した。二階氏の要請を受けて、小池氏は都が保管していた防護服10万着を提供している。「人道支援とはいえ大盤振る舞い」だと同誌は指摘する。このプロセスが不透明なのはもちろん、こうした布石の上で、自民党が知事候補を出さない“取引”があったとすれば、「私物化」との批判を生む可能性もある。
◆希望は新薬と紫外線
さて、新潮に戻って「特効薬の実用化はいつか」の記事が少し希望的だ。アビガンが中国で効いたという症例があるらしいが、日本で同薬の「認可がおりて保険適用されるのは、5月の連休明けごろかもしれない」と「長野保健医療大学の北村義浩医師」は言う。学校が連休明けに再開を予定しているタイミングと合っている。
また、北村医師は「紫外線を30分当てると、コロナウイルスを無害化できることがわかっています。5月末から6月ごろには十分な量の紫外線が射し、ウイルスが終息する可能性があります」とも指摘している。
「4月から5月にかけ、暗いトンネルの先に強烈な光が射す可能性は、低くなさそうである」と同誌は書く。こんな希望的な明るいフレーズを週刊誌で読むとは思わなかったが、希望的であることは間違いない。
(岩崎 哲)