脱会屋を無条件に信じ込む
「青春を返せ裁判」法廷証言から(9)
前回の井上しげ子さんの証言内容は、自分はマインド・コントロールにかかっていた↓それは強制的な措置を取らなければ解けないものだった↓拉致監禁も仕方がなかった、と肯定する。このような思考回路が働いていると見てよいだろう。
その考え方を浮き彫りにした証言はほかにもある。
原告側証人の1人、青山ひとみさん(仮名)が出廷して、被告側代理人尋問に対して次のように証言している(平成9=1997=年9月26日)。
代理人 あなたが脱会したときには、ある種の拘禁を受けたでしょう。監禁されたでしょう。
青山 はい。
代理人 監禁されたときに、別のキリスト教の牧師さんに、統一原理はこういうものであるということをいろいろ指摘されて、その教理が間違っているということを言われたわけでしょう。
青山 いえ、私のところに来てくれた牧師は日本キリスト教団の教義の説明はしてくれましたけど、協会の批判はしませんでした。
(中略)
代理人 しかしそれはあなたが最初から牧師の名前を知っているわけじゃないでしょうから、あなたを監禁した人たちが、その牧師さんにお話を聞いてみたらと勧められたので、あなたはその気になっただけの話じゃないですか。
青山 その監禁というのは、そうしないと私が協会の教育を受けたままだと逃げてしまうから保護してくれたと考えてますし、その牧師だって強制的に来てたわけじゃなくて、私の都合も聞いて私の意見を聞いて、考える余地を与えてくれたと思ってます。
代理人 今はそう思ってるけれども、監禁された当時はそういう考え方をもってなかったんだね。
青山 監禁された当時から思ってました。
代理人 じゃあ何のために監禁してるんですか。最初からそう思ってるんだったら監禁する必要はないでしょう。
青山 統一協会では、監禁されたら逃げなさいっていう教育をされていて、マインド・コントロールにかかっているので、そうやってかぎをかけておかないと、逃げてしまって自分の考える時間がなくなってしまうので、親がそうやって守ってくれたと思っています。
代理人 それは自分の信仰に基づいた考えじゃないんですか。信じてたからそういうふうに逃げたいという気持ちが起こったんじゃないの。
青山 そのときはマインド・コントロールにかかっていましたので、思ってました。
(「宗教の自由」取材班)