犯罪行為の現場を見たまま証言


“拉致監禁”の連鎖(247)パート10
被害者の体験と目撃現場(33)
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舞さんと後藤徹氏の拉致監禁に関わった宮村峻氏が経営する株式会社「タップ」(東京・荻窪1)の入り口

 舞さんは今年4月8日に、東京地裁803号法廷の証言台に立った。

 12年5カ月にわたって監禁された後藤徹氏が、脱会屋の宮村峻氏や新津福音キリスト教会の松永堡智牧師、家族らを相手取って損害賠償を求めた民事裁判で、舞さんは監禁現場を目撃した重要な証人だった。

 東京地裁へ提出したいくつかの陳述書の中で、舞さんは証言する理由を次のように記している。

 「あまりにも宮村をはじめとする元信者、そして水茎会の人々は人権蹂躙についての感覚がなさ過ぎます。私が統一教会員であろうとなかろうと、後藤徹という人物が荻窪フラワーホームに12年以上も監禁されていたことを知った以上、私は陳述書に事実を書きます。後藤徹さんが統一教会の信者だからといって、12年間も監禁していいなどということはあり得ないからです」

 犯罪行為の現場に居合わせ、それを見たからには、立場に関係なく公の場で見たままの事実を知らせなければならないという思いだ。

 この日、静まり返った法廷内の被告席には、宮村氏や松永牧師、後藤氏の兄妹らが座った。

 舞さんはまっすぐ裁判官を見つめ、口を開いた。

 「その日(後藤氏を目撃した日)も、先に宮村が後藤さんの部屋にいて脱会説得をしていて、それと同時に元信者スタッフが私を呼びに来て、一緒に8階まで階段を上っていきました。またいつもと同じように小さく合図のノックをすると後藤さんの家族が中から監禁のための施錠を解いて、私たちが中に入ります。それで、また後ろで施錠をして、後藤さんを逃げられないようにします」

 部屋の中での具体的な様子については「後藤さんは、宮村から悪口を浴びせかけられて、ずっとうなだれてました。宮村は、人を閉じ込めておきながら、『頭が働いてない』とか『お前は思考停止してる』とか『お前はばかだ』とか、そのようなことを言っていました。一人を大勢で囲んで、いじめているような雰囲気です。(中略)ある意味、見世物ショーのような、そんな雰囲気もありました」と、きっぱり証言した。

 ドアに施錠がされていたことについては、原告側代理人弁護士(以下、弁護士)と次のようなやり取りが交わされた。

 弁護士「説得が終わってからどうしたんですか」

 舞「終わると、宮村を先頭に部屋を出て行きました」

 弁護士「玄関の施錠はどうしたんですか」

 舞「まず後藤さんの家族が施錠を取ります。開けます。私たちが出て、その後、また後ろでガチャガチャと監禁のための施錠をします」

 弁護士「この監禁の施錠、内側から出られないような、そういう施錠がされてたのは間違いないですね」

 舞「間違いありません」

(「宗教の自由」取材班)