朝日新聞の新社長、渡辺雅隆氏は大阪の…


 朝日新聞の新社長、渡辺雅隆氏は大阪の就任会見で「全力で再生を決意」とリーダーシップ発揮を強調した。が、質疑応答になり一連の「慰安婦」問題の記事について質(ただ)されると、応答は広報担当に任せっきりだった。

 韓半島で女性を強制連行して慰安婦にしたという吉田清治氏証言を虚偽と判断し記事を取り消したのに、同じ吉田氏が男性6000人弱を強制連行したとする証言記事はなぜ取り消さなかったのか。この問いに「(同社内に設置された)第三者委員会の詳細な検証を待っている」と広報担当。

 これはおかしいと思い「取り消しの基準は朝日新聞社が責任をもって決定した。第三者委員会の報告を待つ云々(うんぬん)の話ではないはず」と問うても、同様の答えを繰り返すのみ。

 朝日は1982年9月2日付大阪本社版に「直接指揮して日本に強制連行した朝鮮人は約6000人、うち950人が従軍慰安婦だった」という吉田氏の証言記事を掲載した。吉田証言は慰安婦と強制連行の問題が不可分なのだ。

 にもかかわらず、件(くだん)の記事を取り消さなかったのは、その時点で同社首脳部の判断基準があったはず。それは何だったのか。

 再び質問しようと手を挙げると、司会者はあと1~2問で質疑応答は終わりますと告げ、こちらには当たらずじまい。朝日は今のところ、第三者委を逃げ場にしているようだ。非難のガス抜きのための検証結果でないことを願うのみ。