日立市(茨城県)で1人暮らし70代の無職…
日立市(茨城県)で1人暮らし70代の無職女性が、電話で債権購入を持ち掛けられた末に総額1億4000万円余を騙し取られた詐欺事件が分かったのは9月18日のこと。今月4日には大津市(滋賀県)の無職男性(83)が、ダイヤモンド購入をめぐって2億円余の被害を受けたことを警察が発表した。
被害金額の飛びぬけた大きさに驚かされるが、一方でいわゆるオレオレ詐欺の方は連日のように起き、被害者を泣かせている。息子などを装い、老母などに嘘(うそ)で急場しのぎの金の工面をさせて騙し取る手口。
被害額が数百万円単位のケースが多く、いちいち新聞記事に出なくなるほど頻発している。全国の警察が今年1~10月に把握した振り込め詐欺の被害額は294億円弱。
今年は2カ月を残して、すでに過去最悪である。オレオレ詐欺と実在しない投資話や料金請求で騙す「架空請求詐欺」を合わせると270億円余で、振り込め詐欺全体の92%を占める。
これらの「特殊詐欺」の被害防止のため、警視庁は10月から「特殊詐欺根絶ニュース」を発行。金融機関の職員向けに特殊詐欺の手口や、詐欺被害を直前で防いだ銀行の窓口職員を「声掛けマイスター(名人)」として紹介している。
金融機関の職員らの声掛けで1~10月に243億円もの被害を防いだ。また警察は10月末までに、昨年同期より181人多い1605人を摘発した。官民挙げて卑劣な犯罪を阻止する意識を高めたい。