「包み食」文化に待った


韓国から

 会食のため入ったソウルの和食レストランで、久しぶりにマグロの刺身を食べようとした時のこと。女性ホールスタッフが「お客さんたちは日本の方だから、こんな案内は要らないでしょうけれど」と言いながらテーブルの上に置かれた案内プレートを指差した。見ると「クロマグロを美味しく召し上がる方法」というタイトルで、マグロの刺身をごま油に付けて韓国海苔で巻いて食べるようなことはしてくれるな、折角の刺身の美味(おい)しさが台無しになってしまう、という訴えが書かれていた。

 一緒にいた同僚と顔を見合わせて笑ってしまったが、確かに韓国では刺身を葉野菜や海苔、ワカメなどに包んで食べる習慣があり、以前から「もったいないな」と思っていた。焼肉なら葉野菜を食べているうちにそれが破れて中の肉に舌が達するので、野菜と肉のハーモニーが口の中いっぱいに広がる醍醐(だいご)味を味わえるが、同じことを刺身でやってしまうと味にも香りにも達しないまま飲み込んでしまうことが多い。「包み食」文化もケース・バイ・ケースだ。

 ちなみに上述の和食レストランに2日続けて通ったが、いずれも満席状態。このところ「日本の経済報復は許せない!」「NOアベ!」などとプラカードに書いて街頭でろうそくデモをする威勢の良さばかりが目立つが、和食でしっかり腹ごしらえしているあたりが逆に韓国人らしい(?)。

(U)