名節はもうウンザリ?


地球だより

 韓国は今日、二大名節の一つ、ソル(旧正月)だ。田舎から上京した人たちが家族で帰省するため、ソウルから各地に延びる高速道路の下り線は大渋滞になり、高速鉄道(KTX)をはじめ地方行きの鉄道各線や直行バスはどれも満席になる。

 田舎では儒教のしきたりに従った祭祀(さいし)で霊前に料理をお供えし、帰省してきた息子・娘家族に振る舞う。年に2度、毎年繰り返される光景だが、近年、名節にストレスを感じる若者が増えているという。

 これは名節で家族・親戚が集まると、進学、就職、年俸、結婚、出産などについて聞かれることが多く、うまくいっていない時はイラっとするからだ。ある韓国知人宅の場合、娘さんは有名大学卒業後、中央省庁に入りバリバリ働いている。昨年、大手金融機関に勤める男性と結婚。前途洋々の人生を歩む「勝ち組」だ。一方、その弟は親に言われしぶしぶ地方大学に行ったものの就職難で定職に就けないまま。ガールフレンドにも恵まれず、どことなく「負け組」オーラが出ている。姉と比較される弟にとって名節は“地獄”だ。

 もう少し放っておいてあげればいいのにと思うが、放っておけない民族性だから仕方ないのだそうだ。そんな若者たちに手を差し伸べる「名節小言メニュー」なるものが登場しテレビで紹介されていた。小言の中身ごとに値段が決められ、あれこれ言いたければまずおカネを払ってから、と促すものだ。大人たちを牽制(けんせい)するグッドアイディアといえる。

(U)