冷房がない国の暑い夏
地球だより
今年の夏は、世界的に例年に比べ暑いという。ここ北欧のフィンランドでも例年、暑い日があっても数日で終わるのだが、この夏は1カ月以上も暑さが続いているのだ。
いつもより10度ぐらい温度が高く、7月は北極圏も含め30度に達した。異常としか言いようがない。
昨年の夏は雨が多く涼しい夏だったが、今年はほとんど雨も降らない。ここまで続くと、夏は待ちに待った最高の季節といった思いは吹っ飛び、夏が終わるのをひたすら願うようになる。
フィンランドの家庭は冬の寒さに対する設備はできているが、暑さに対しては全くと言っていいほどない。冷房が利くエアコンどころか扇風機も今まで要らなかったからだ。
あるスーパーでは土曜日の夜、100人に限ってお客さんが寝泊まりできるよう店を開放した。エアコンの設備があるからだ。ニュースでは、家で寝るよりエアコンがあるホテルで寝る人たちが増えつつあるという。
友人は奥さんと一緒に庭にテントを張って夜は寝ている。部屋の中は暑くて寝られないという。
妻が友人の勧めで扇風機を買おうと思ってネットで調べてみたが、すべてのショップで扇風機が売れ切れていた。
かつて90年代、夏に時々フィンランドを訪問したが、車を運転する時もエアコンをつける必要がなかった。というより殆(ほとん)どの車にはエアコンが装備されていなかった。
しかし、ここでも夏の暑さへの備えを真剣に考える時が来たようだ。
(Y)