「男無罪、女有罪」を糾弾


地球だより

 先週末、ソウルで女性だけに参加を呼び掛けた異色の大規模デモ集会があった。発端はある美大の授業でヌードのクロッキー(速写)が行われた際、モデルの男女がケンカになり、女性モデルが密かに携帯カメラで撮影していた男性モデルの全裸写真をネット上にアップ。これが発覚して問題となり、女性が警察に逮捕された事件だ。もし逆に女性の写真がアップされていたらこんなに素早く捜査が行われることはなく、加害者は放置されたまま被害を受けた女性は泣き寝入りするだけだろう、というのがデモ主催者の主張だ。

 韓国では近年、こうした盗撮行為を「隠しカメラ」の頭文字を取って「モルカ」と呼ぶようになった。女性が公衆トイレで被害に遭うケースが多いなど被害者はほとんどが女性だが、検挙率は悪い。ちなみに一昨年のデータでは被疑者が約4500人に対し検挙は135人(3%)にとどまっている。集会では「男性無罪、女性有罪の性差別捜査を中断せよ!」「法の前では男女平等ではなかったのか!」というスローガンが連呼されたが、今回の事件だけを見れば確かに「モルカ犯」に対する男女不平等感はあろう。

 だが、こうした事件があっても一挙に男女の性差まで否定する極端なジェンダーフリーに向かう気配は感じられない。韓国でも男性に家事参加を促したり、社会全体に残る男性上位の意識を是正すべきという風潮は広がっても、こと性問題ではまだまだ保守的なのだ。

(U)