巧妙な「独島」共闘
地球だより
平昌五輪の開会式で韓国と北朝鮮の選手団が合同入場行進する際に掲げた統一旗(白地に青で朝鮮半島を描いた旗)が一時物議を醸した。独島(竹島の韓国名)が描かれているのは政治宣伝を禁じた五輪憲章に反する疑いがあったためだ。
韓国政府は「独島抜き」の統一旗使用を決定し、合同入場ではそれが使われたが、実はそれ以外のあちこちで「独島入り」が乱舞していたことはあまり知られていない。
南北合同チームで話題になったアイスホッケー女子予選の日本戦では韓国の親北団体が競技場の中と外で来場者に統一旗を配っていたが、これにはしっかり独島が描かれ、中には明らかに実際の縮尺より大きく描かれた感情移入版もあった。現場には組織委員会のスタッフや警察官が多数いたが、チケットを違法転売するダフ屋の取り締まりに気を取られ、五輪憲章違反はスルー。結局、最後までお咎(とが)めなしだ。
綺麗(きれい)どころで構成された北芸術団の公演では、大トリの玄松月団長が歌った北歌謡「白頭と漢拏(ハルラ)は私の祖国」の歌詞に本来ないはずの「独島」が登場した。「済州島も漢拏山も私の祖国」という箇所を「漢拏山も独島も私の祖国」とわざわざ変えて歌ったのだ。
俗に「共通の敵がいることで仲が近くなる」と言うが、五輪を舞台にした南北融和にも日本を共通の敵に見立てた巧妙な仕掛けが潜んでいた。
(U)