映画「軍艦島」の標的


地球だより

 遅ればせながら、この夏こちらでヒットした映画「軍艦島」を見た。軍艦島は明治から昭和にかけ海底炭鉱で栄えた長崎県端島の別名で、周知のように海にポツンと浮かぶ小島に所狭しと並ぶ集合住宅群が遠目には軍艦のごとく映ったためこの名が付いた。一昨年、国際記念物遺跡会議により世界遺産に登録されたが、戦前に朝鮮半島出身者が徴用された歴史から韓国がこれに反発した経緯がある。

 映画は予想通り朝鮮人徴用工が日本人に搾取されながらも最後は生き残って島を集団脱出するという「反日もの」だったが、「おやっ」と思うシーンもあった。脱出の際に徴用工たちがろうそくを手に決起する場面は昨年の国政介入事件で朴槿恵大統領(当時)の退陣を求めるろうそくデモを連想させたし、日本人の代わりに徴用工を搾取した朝鮮人は「親日派」として日本人以上に悪役として描かれていた。

 韓国で「反日映画」が幅を利かすようになったのは、盧武鉉政権の頃からだっただろうか。「反日」は日本が標的というより、それを利用した保守叩きが巧妙に刷り込まれていた。「軍艦島」に続いて封切りになった「タクシー運転手」は、軍事独裁に抵抗した民衆蜂起が舞台で、これも反保守。北朝鮮の先代、金正日総書記は映画を政治宣伝の道具にフル活用したことは有名だが、韓国も負けてはいない。

(U)