路上に「テロ防止ボラード」
地球だより
欧州の主要都市で「アンチ・テロ壁」やボラード(テロ対策用車止め)の設置がブームとなってきた。その直接のきっかけは、欧州各地で車両を利用したイスラム過激派テロ事件が頻繁に発生したことだ。
スペイン東部バルセロナ市で8月17日、イスラム過激派テロリストたちが白いワゴン車で市中心部の観光客でにぎわうランブラス通りを暴走し、多数の犠牲者、負傷者を出したばかりだ。昨年7月14日には、フランス南部ニースでチュニジア出身の31歳のテロリストがトラックで群衆に向かって暴走し、86人が犠牲となった。そのほかドイツの首都ベルリンで昨年12月19日、ロンドンでは今年3月22日、車両暴走テロ事件が起きている。
音楽の都ウィーンでは今、連邦首相府と大統領府のあるボールハウス広場を車両テロから守るために「アンチ・テロ壁」の建設が計画され、作業は既に始まっていた。
ところが政府建物周囲を高さ80センチの壁で囲むことはホーフブルク宮殿周辺の景観を損なうなどの理由から反対の声が高まった。そこでケルン首相は壁建設にストップを掛け、最終的に42の固定ボラードを設置することを決定したばかりだ。
ボラード設置の総工費は約48万8000ユーロと推定され、「アンチ・テロ壁」建設(約36万ユーロ)より高くつくことが判明した。なお、42のボラード設置作業は来月26日の建国記念日までには完了するという。
(O)