中道右派はポピュリストより過激


地球だより

 時間の過ぎ去るのは早い。政治家のキャリアも例外ではない。最近、ビクッとするつぶやきを聞いた。「彼には新鮮味がなくなってきたね。彼から老いを感じる」

 「誰」のことかというと、オーストリアの極右政党「自由党」のハインツ・クリスティアン・シュトラーヒェ党首だ。まだ47歳。野党第1党の党首として選挙戦のたびにこれまで台風の目となってきた。フランスの「国民戦線」(FN)のマリーヌ・ルペン党首、オランダの「自由党」のヘールト・ウィルダース党首らと共に、欧州の代表的極右政党の指導者だ。

 外国人排斥、オーストリア・ファーストを標榜(ひょうぼう)し、厳格な難民受け入れ政策を主張して支持を伸ばしてきたポピュリスト「自由党」だが、その主張自体に新鮮さがなくなってきたのだ。その主因は与党第2党、中道右派の「国民党」党首に就任したばかりのクルツ外相(30)だ。

 シュトラーヒェ党首は「クルツ外相の難民政策はわが党の政策の完全なコピーだ。彼はコピーの天才だ」と嘆く。客観的に言えば、クルツ外相の難民政策は「自由党」よりもいっそう厳格だ。

 中道右派政党の右傾化傾向はオーストリアだけではない。オランダの総選挙で、マルク・ルッテ首相が率いる「自由民主国民党」が躍進したが、ルッテ首相はオランダ社会に統合できない移民は「出ていけ」と主張し、極右政党「自由党」のお株を奪った。

(O)