結婚より家族が欲しい
地球だより
昨年、フランスで結婚したのは約23万5000組だそうだ。そのうち同性婚7000組も含まれるという。無論、この数字には事実婚は含まれないので、倍ぐらいのカップルが誕生しているというのが正しい数字かもしれない。
昨年のフランスの合計特殊出生率は1・91人と前年の1・96人を多少下回ったが、ヨーロッパではトップクラスだ。それより興味深いのは、フランスの男女で将来持ちたい子供の数が平均2・6人と高いことだ。この数字もヨーロッパではトップ3に入る高さだ。
つまり、法律婚であれ、事実婚であれ、家族が欲しいことに変わりなく、子供は2人以上欲しいと考えているフランス人が多いということだ。個人主義者で女性の社会進出が進み、自由な生き方をしているというイメージの強いフランスだが、実際には家族を持つことが人生を豊かにしてくれると考える人が多いという話だ。
仕事を優先するあまり、婚期を逃してしまった女性が急増する日本と違い、働く女性の子育て支援が充実しているフランスでは、ライフワークバランスのライフの部分が個人ではなく家庭生活と考える人が多いということだ。
フランスも半世紀前までは女性が家事をして男性が外で働くのが普通だったが、今では8割以上の女性が職業を持ち、男性も家事をするのが普通になっている。当然、子育ては夫婦の共同作業という考えが一般化している。
一昨年、左派政権が導入した同性婚カップルの養子合法化では、国民の半数が「子供には父親と母親が必要」と強く反対した。
そんなフランスなので、5月に選ばれる新しい大統領によっては、同性婚カップルの養子の非合法化もあるとの見方も出てきている。
(A)