ヒトラーの頭部X線写真


地球だより

 アドルフ・ヒトラーの頭部のレントゲン写真がドイツ・ミュンヘンの競売で2万1000ユーロ(約250万円)で落札されたというニュースが流れた。

 ところで、レントゲン写真からヒトラーの狂気のルーツを探すことができるだろうか。レントゲン写真からは基本的には外傷以外は分からないだろう。ヒトラーの頭部のコンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)検査だったら、事情は変わるかもしれない。頭部内の血液の流れも判明できるし、血管に支障があればキャッチできる。右脳と左脳の発達状況も分かるかもしれない。

 21世紀の脳神経学者たちは、左脳、右脳の役割を解明し、「場所細胞」と呼ばれる機能を有する海馬などの記憶メカニズムを明らかにしてきた。だから、人間の精神構造、成長プロセスでの諸問題も次第に明らかになるという期待が出てきている。

 イタリアの神経外科医セルジオ・カナベーロ氏が2017年に不治の病の体を持つ患者の頭部を脳死患者の体に移植する計画を進めているという。頭部移植だ。トリノ出身の同外科医によると、技術的には全てOKだという。

 心臓が人間の中心と久しく考えられてきた。だから、心臓移植の時はその患者の人格も変わってしまう、といった懸念があった。しかし、心臓は血液を体全体に運搬するポンプの役割を担っているが、人間の精神をつかさどっている所ではないことが判明した。

 そこで次は頭部だ。果たして、人間を人間らしくしている人格、精神は頭部のどこかに潜んでいるのか、それとも頭部は外界からのさまざまな刺激に対するアンテナの役割にすぎないのか、といった疑問に来年は明確な答えが出るかもしれない。

 歴史に「イフ」はタブーだが、ヒトラーの頭部CT撮影やMRIの脳画像があったならば、20世紀最大の戦争犯罪人ヒトラーの隠された精神構造の全容が解明されたかもしれない。

(S)