デモ上手な左翼


地球だより

 朴槿恵政権が推進する労働改革と教科書国定化に反対するデモがソウル中心街で行われた。デモを主導したのは戦闘的スタイルで有名な左派系の全国民主労働組合総連盟(民主労総)で、数万人が大通りを占拠し「朴槿恵退陣」を叫んだ。恐らくこの種の大規模デモは李明博前政権時の2008年に米国産牛肉の輸入再開をきっかけに起きた、あの「狂牛病騒ぎ」以来のことではないかと思う。

 デモ参加者たちは皆殺気立っていた。青瓦台(大統領府)方面への行進を試みるため、警察バスのバリケードを崩そうと鉄パイプでバスの窓ガラスを壊したり、ロープを括(くく)り付けて運動会の綱引きでもするように大勢で引っ張った。彼らの中に交じってこの様子を撮影していると、傘をかざして邪魔された。それでも撮っていると「なんでケガした参加者は撮らない。あんた、本当に記者か」と絡んできた。

 警察はカプサイシン(催涙スプレー)混じりの放水で防戦し、現行犯で50人余りを連行。結局、夕方に始まった騒ぎが収まったのは日付が変わる頃になってからだった。

 誤解を恐れず言えば韓国左翼はデモ上手だ。専従の労組幹部は大学教授顔負けの高給取りで、指名手配されて寺院に駆け込んでも英雄気取りである。韓国のデモを目の当たりにすると、国会周辺や沖縄・辺野古でやっている日本の左翼はまだカワイイ方(?)。

(U)