神父たちが悩んでいる!


 独ヴルツブルク司教区所属の神父が聖職停止処分を受けた。理由は未成年者への性的虐待行為への疑いからで、真相が明らかになるまで、神父は聖職を停止されるという。

 フランシスコ法王は4人の未成年者への性犯罪で有罪判決を受けたアルゼンチンの神父の聖職を剥奪した。サン・イシドロ司教区所属の同神父は2011年、性犯罪の罪で14年の有罪判決を受けている。フランシスコ法王は11月初め、神父の聖職はく奪を決定したが、このほど明らかになったもの。聖職者による性犯罪の犠牲者団体はフランシスコ法王の決定を歓迎する一方、「判決まで余りにも時間がかかり過ぎる」と批判している(バチカン放送独語電子版11月10日)。

 米シカゴ大司教区は11月7日、聖職者による性犯罪関連の内部文書を公開した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、文書は性犯罪容疑で調査された過去36人の神父に関するもので、約1万5000頁に及ぶという。同大司教区では10年前から聖職者の未成年者への性的虐待事件が発覚し、教会内外に大きな衝撃を投じた。犠牲者への賠償金は数百万ドルにもなる。同大司教区は今年初めにも、性犯罪を犯した30人の神父の関連文書を公開している。

 スペインのローマ・カトリック教会は複数の神父の未成年者への性的虐待事件の発覚で大揺れだ。南部グラナダで今月24日、3人の神父と1人の宗教教師が未成年者への性的犯罪の疑いで逮捕された。

 グラナダの24歳の青年が未成年時代、複数の聖職者によって性的虐待を受けたことをフランシスコ法王宛てに一通の書簡を送って訴えたことから、メディアで大きく報じられた。フランシスコ法王はローマ・カトリック教会の代表として謝罪を表明する一方、グラナダ大司教区のJorge Fernandez Diaz 大司教をバチカンに招き、事件の対応について話し合うという。

 ちなみに、同国メディアによると、新たに7人の神父と1人の宗教教師が性犯罪の容疑で警察当局の訊問を受けているという。

 上記の記事はあくまでも一部で、全てではない。バチカン側が掌握している聖職者の代表的な性犯罪事件に過ぎない。 

 聖職者の性犯罪はフランシスコ法王時代に入っても発生し、昔の性犯罪事件が発覚している。教会側は信頼回復に努めているが、スペイン教会のように過去の犯罪が発覚し、大揺れになっている教会も出てきているわけだ。

 なぜ、イエスの十字架信仰で救われたと主張する教会の聖職者たちが性犯罪に走るのだろうか。教会の制度にも問題があるが、カトリック教会の救済信仰の限界を示しているのではないか。後者が事実に近いとすれば、カトリック教会は深刻な問題に対峙していることになる。

(ウィーン在住)