震災3年で“右傾化”?
地球だより
「東日本大震災から3年」のニュースはこちらでも大きく取り扱われ、避難生活が続く被災民の様子や復興に向けた動きなどをリポートしていたが、ある大手紙は東京発で「3年で後退した日本」という見出しで、例によって安倍政権発足後の“右傾化”にスポットを当てた記事を書いた。
大まかな内容はこうだ。「韓国など各国が日本に送った誠金(義援金)には日本が苦しみを昇華させ、尊敬に値する国家になるという期待が込められていた」のに「安倍政権の右傾化暴走は福島原発事故への対応の遅れよりも深刻な北東アジアの脅威として浮上」し、こうした状況は「1923年の関東大震災後の排他主義と似ている」。
見出しにある「後退」とは、震災直後にスーパーなどに強奪に入るのではなく、秩序正しく並んで買い物をする姿が海外で「人類精神の進歩」と称賛されたこととの比較だ。この時の様子と嫌韓デモの写真を2枚並べ、「後退」を視覚的にも訴えた。
韓国人の目には、震災3年で日本はかなり“右傾化”したと映っているようだが、もちろん震災後に日本人が気付かされたり、深層心理的にもたらされた変化は“右傾化”などという安っぽいものであるはずがない。
震災3年のニュースを見ながら一緒に昼食を取った韓国人が筆者の顔を見ながら言った。「本当に日本人は“右傾化”したのか?」「被災民は大変ですね」。互いに会ってこそ通じる世界があり、会って初めて違った結果が生まれるということを、かたくなに首脳会談を拒んでいる朴槿恵大統領にぜひ申し上げたい。
(U)