“クネノミクス”
地球だより
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任1年を迎え「経済革新3カ年計画」をぶち上げた。「第二の漢江の奇跡」を盛んに口にし、父、朴正熙元大統領の功績にあやかるかのようだ。元大統領は経済5カ年計画を発表して「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を成し遂げた。
知人の元韓国人記者は「朴大統領には経済を期待している」と言う。財閥が大統領一家に巨額の献金をし、特恵を受けて寡占をほしいままにした結果、一部の経済的特権層だけが潤ってきた。女性で独身の朴大統領は、そんな軍事政権時代の負の遺産を決して引き継がないという見立てだ。
ここ何年一度も上がらなかったパートの時給が朴大統領になった途端、数百ウォン(数十円)上がったことで朴大統領を見直したという若者もいる。過去の大統領なら懐に入っていたものが、市場に回ってきたおかげだというのだ。
朴大統領の強みは、こうした“清廉潔白”にあるのかもしれない。「3カ年計画」を発表しながら朴大統領がまず最初に強調したのは、長年続いてきた間違った慣行を正すことだった。賄賂や不正腐敗の横行、うまい汁を吸う既得権層の横暴ぶりなど経済政策うんぬん以前の問題ばかりだ。
ひょっとすると、デフレ脱却を目指し三本の矢(金融緩和・財政出動・成長戦略)を実行しようとして世界の耳目を集める隣国のアベノミクスも意識しているかもしれない。抜本改革に挑もうという熱意は同じだ。“クネノミクス”お手並み拝見である。
(U)