韓国版「朝日・毎日」
地球だより
韓国の新聞市場は日本以上に競争が激しく、中央日刊紙と呼ばれる全国紙が約10紙ひしめいている。保守系の朝鮮日報、中央日報、東亜日報でシェア60%を占め、保守による寡占のように見えるが、数字以上に影響力があるのがリベラル系のハンギョレ(一つの民族という意)新聞と京郷新聞だ。
2紙は保守系の政府・与党の批判に余念がないという点では正に韓国版「朝日・毎日」。先日、ハンギョレの系列週刊誌「ハンギョレ21」が朴槿恵大統領批判をカバーストーリーにした特集号を出し、これが無断でKTX(韓国高速鉄道)の座席の網ポケットに2万部配布されるという“事件”が起きた。配布したのは昨年末、違法ストに反政府運動を絡め、物議を醸した鉄道労組の組合員だったといい、乗客に少しでも反朴槿恵感情を刷り込もうという魂胆だ。
一方、逮捕状が出ていたこの鉄道労組の幹部をかくまった労働団体が入居しているのが京郷新聞の社屋だ。そういう意味でこの建物は左翼の巣窟のような所なのだが、小紙と同様に保守論陣を張る産経新聞のソウル支局もここにあり、呉越同舟状態だ。支局長に会うと「一緒の建物にいて大丈夫ですか」と、つい心配になって尋ねてしまう。
「ペンは剣より強し」よろしくハンギョレも京郷も批判・ケチ付け精神はピカ一だが、無断配布や過激労組を同居させるあたりは「ペン」の力だけでは飽き足らない実力行使だ。「朝日・毎日」のように100年を超す歴史はなくても、このたくましさを“評価”するとしたら、それをもしのぐ(?)。
(U)